2024年 4月 19日 (金)

情報通信産業

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日本IT産業の現状

日本のブロードバンドサービスは世界トップ級

街頭で情報をチェックするビジネスマン
街頭で情報をチェックするビジネスマン

 2000年のITバブル崩壊で日本のIT産業は一時マイナス成長に陥ったが、その後政府のeジャパン計画による膨大な予算投入などで業績は回復、成長を続けている。 eジャパン計画は、2005年度末までに日本がIT利用で世界最先端に立つことを目標にしている。そのため、高速インターネットアクセス(ブロードバンドアクセス)を4000万世帯にまで普及させることを目指している。2001年森内閣でスタートしたeジャパン計画は米国のNIIやシンガポールのIT2000などと同じ性格の政府計画だが、スタートは各国に比べ遅れた。しかし、IT分野の規制緩和と競争促進で、日本のブロードバンドサービスは価格と品質では世界トップクラスの水準を達成しており、インフラ分野の目標は達成されつつある。ただ、従来書類で処理されていた政府への申請手続きや許認可を電子化する計画は、一部企業では利用され始めたが、国民がその恩恵を享受できるまでには至っていない。

 ブロードバンドサービスの料金水準はDSLで2000円から3000円、光ファイバーで6000円から7000円の水準にまで下がったが、定額制では、通信量が増加しても比例して収入が増えるわけではなく、ブロードバンドサービスを提供する各社とも利益を確保しにくい経営が続いている。 こうした経営難から通信業界の再編集約が進み、2004年10月現在、ITインフラ企業はNTTKDDIソフトバンクの3グループに集約されつつある。新規参入した電力会社系のパワードコムも経営が軌道に乗るまでに至っていない。

光ファイバーを収容する配電盤
光ファイバーを収容する配電盤

  一方、ITインフラを支える通信業界では、大きな変動が起こりつつある。 固定電話市場は90年代から携帯電話の発展で伸び悩み、通信事業者の再編が進んだ。NTTは過去10年間に急速に普及した携帯電話に固定電話市場を奪われ、一時は6000万台を超えていた加入数が5000万台を下回る事態に追い込まれ、経営基盤が揺すぶられている。最近は、IP電話の普及で固定電話収入がさらに脅かされる恐れも出て、固定電話ビジネスの将来性に展望が見えない状態になり、NTTは経営形態の再々編成を模索している。固定電話市場における主なプレーヤーはNTTのほかに、KDDI、DDI、IDOが合併したKDDI、旧日本テレコムを傘下におさめたソフトバンクと電力会社系の通信各社の4グループに集約されている。

放送のデジタル化 急ピッチ

 日本のテレビ放送は1953年から始まり、ほぼ全世帯に普及しているが、放送衛星(BS)によるアナログ放送が1989年からスタート、NHKがハイビジョンを含む3チャンネルと民放1チャンネルで放送をしている。NHKはハイビジョン実用化に自信を得て、同方式を世界標準にするよう各国に働きかけたが、 1990年ごろから始まったデジタル化の動きにアナログハイビジョンの国際標準化を断念した。

  これとは別に、通信衛星(CS)を利用した多チャンネルテレビ放送も1996年からデジタル化が進み、200チャンネルにも及ぶ放送が開始された。ルパート・マードック率いるニューズ社のJSKYB、米ヒューズ社のディレクTV が参入したが、プラットフォームの乱立による経営不振が続き、JSKYBはパーフェクTVと合併、ディレクTVは撤退した。 BS放送のデジタル化も2001年末から始まり、既存の地上波テレビ局5社もいっせいにBSデジタル放送に参入した。

 2004年に通信回線を利用した、IPテレビ放送がスタート、KDDI、ソフトバンクグループのヤフーBBTV、NTTグループのぷららTVほか、ISPやベンチャー企業の参入も相次いでいる。CS放送チャンネルの多くがブロードバンドIP放送に進出、新たな競争が始まっている。 一方、地上波テレビのデジタル化は米英に遅れて、2003年から首都圏など3 大都市圏でスタートした。地上デジタル放送を受信するには専用のチューナーあるいはデジタルテレビが必要で、政府は2006年のドイツW杯に1200万台を、 2011年までにデジタル化へ移行完了を目標にしているが、このペースでは目標達成は難しいとの見方が出ている。 放送局側も莫大(ばく・だい)なデジタル化投資が必要なため、民放地方局が投資負担に耐えられるか、大きな問題になっている。 衛星から直接携帯端末にテレビ放送を送るモバイル放送も始まり、テレビ業界は混戦模様となっている。

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