2024年 4月 20日 (土)

医療業界

現状

少子高齢化のあおりで国内市場は飽和へ

  日本製薬工業協会東京証券取引所に上場する製薬29社を対象にした調査によると、バブル崩壊後の過去10年において、他産業の売り上げや利益が大きくマイナス成長を余儀なくされるなかで、製薬業界だけは売上高の伸び率は2%、平均営業利益の伸び率も5%成長という比較的高めの成長を維持することができた。

  しかし国内市場に限って言えば、マーケットは次第に飽和状態に向かいつつある。現在の日本は少子高齢化にともなって、医療保険制度が破綻の危機に直面している。そのために、日本政府は2年に1度の割合で薬価の引き下げを実施するなどして、医療費つまり医薬品への支出額を全体として抑制しようとしているからだ。

医薬品の大量投与にブレーキ

  難しい手術や先進的な治療を行う「特定機能病院」である82の病院に対して、2003年4月から、包括評価制度が導入された。同制度は一般病棟の入院患者の診療報酬について、1日当たりの報酬を「定額」で支払うと言うものだ。従来の「出来高」払い制度では、診療行為ごとに所定の診療報酬が支払われ、使用した医薬品の金額も使用された量だけ青天井で医療機関へ支払われた。しかし包括評価制度では、医療機関はあらかじめ定額の枠が課せられる。そのため、その予算制約の中でやりくりしなければならず、医薬品の使用に対してもおのずとブレーキがかかるようになった。

大手製薬会社は輸出ドライブかける

築地の国立がんセンター中央病院 
築地の国立がんセンター中央病院 

  一方、国内市場の成長の行き詰まり対策として、1990年代末頃から、一部の大手製薬会社は輸出拡大に動き始めている。輸出比率が10%を超えているのは、武田薬品工業エーザイなど6社に及ぶ。日本からの薬の輸出高に占めるこの6社のシェアは、この10年間で7割から実に9割まで上昇している。国内市場が伸び悩むなかで、海外展開できる販売網と開発力を持つ大手企業と中堅企業との格差が徐々に広がりつつある。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中