2024年 5月 4日 (土)

燃料電池車普及に20年?

   ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車が2、3年の間に急速に普及しそうだ。「究極のエコカー」といわれる燃料電池車の開発が当初の見込みより大幅に遅れているからだ。

ハイブリッドシステムを搭載した「レクサスGS 450h」
ハイブリッドシステムを搭載した「レクサスGS 450h」

   世界的に地球環境問題に対する意識が高まっていることに加え、ガソリン価格の高騰で省エネ車に対する需要が拡大している。その中でも、世界の自動車メーカーはハイブリッド車に焦点をあて、開発、販売に本格的に取り組みだした。
   燃料電池車の開発にブレーキがかかっているのは、まず装置そのもののコストが高い点だ。さらに、燃料の水素を供給するスタンドなどインフラ整備にも相当な時間を要することが分かり、普及まで「20年以上かかる」との見通しが出始めた。それなら「ハイブリッド」というわけだ。

トヨタは低価格車まで搭載する計画

   この分野の先駆者で圧倒的なシェアを持つトヨタ自動車はハイブリッドシステムのコストを2008年までにいまの4分の1まで引き下げて、低価格の大衆車にまで搭載し、同社のシステムを世界標準にすることを目指している。ハイブリッド商戦はトヨタを軸に展開されることは確実だ。
   もっとも、ホンダがトヨタを追撃する準備を進めているほか、日産自動車フォードはトヨタからの技術導入で、GMダイムラークライスラーと共同開発でハイブリッド車に参入することにしている。
   ただ、それでもいまのところトヨタの「ひとり舞台」。05年は約25万台を販売し、世界シェアの約80%。現在はプリウスをはじめアルファードエスティマハリアーレクサスGSなど価格の高い車にしか搭載していないが、コストを下げることにより、カローラヴィッツなど低価格車まで搭載する計画だ。

リチウムイオン電池の開発が鍵

   そのためには、現在38万円といわれるハイブリッドシステム(ハイブリッドユニット、モーター、電池)のコストを08年までに8万円まで下げる計画だ。そして、年間100万台の乗用車に搭載し、圧倒的な優位性をさらに確実なものにする。そのキーとなるのが今のニッケル水素電池に代わるリチウムイオン電池の開発だ。
   リチウムイオン電池というのは、充電して繰り返し使える二次電池の一種。ニカド電池やニッケル水素電池と比べ、軽量で電圧も3倍近く高いのが特長。一度に蓄えられる電気の量も多く、小型、軽量化に適している。
   1990年代半ばから電子機器の電源として普及。携帯電話やノートパソコンに搭載されているが、値段が高いのが欠点だ。
   トヨタは「この先3年間で勝負は決まる」との意気込みでリチウム電池の開発とコストダウンに全力で取り組むとともに、技術導入を希望する自動車メーカーに供与し、同社のシステムを世界標準化することを狙っている。

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