2006年12月5日、安倍晋三首相と日銀の福井俊彦総裁が昼食を交えて会談し、経済情勢などで意見交換した。両者は好調な企業収益を背景に来年に向けてゆるやかで持続的な景気回復が続くとの見方で一致はしているものの、企業収益の好調が家計に波及するとのシナリオから、早めの追加利上げをしたい日銀に対して、個人消費の低迷を示す経済指標が相次いだことを理由に、追加利上げに慎重な政府とのあいだに微妙な温度差がある。年内の追加利上げはあるのか、ないのか、微妙だ。

年内の追加利上げはあるのか?
日本経済新聞などは6日付の朝刊で、安倍首相は5日夜、「政府は改革を進めて歳出を削減していく。今後とも、経済を金融政策で支えてもらいたい」と強調、日銀を牽制したと報じた。また、福井総裁や、同席した尾身幸次財務相は「(追加利上げについては)話していない」とコメントしたが、塩崎恭久官房長官は「消費が少し弱いですね」とチクリと指摘したことも明らかになった。
ただ、5日午後には日銀の水野温氏審議委員が都内の講演会で「すべての経済指標が力強いものとならなければ、政策金利を引き上げることができないわけではない」と述べて、政府に同調しない姿勢をみせた。
今回の会談はゼロ金利政策の解除に揺れた今年6月以来で、小泉内閣時から数えて7回目。安倍内閣としては初めてのことだ。福井総裁らが日銀の独立性を保つ意味からも利上げに向けて頑なな姿勢を崩さないこともあって、政府としてはそれを解きほぐせずに腐心しているもよう。ここでも安倍首相の力量が試されているといえる。
年内最後の日銀の金融政策決定会合は今月18~19日に開かれる。