2021年 6月 13日 (日)

支えてきた親が高齢化 これで起きる「若者ホームレス」爆発
――派遣ユニオン・関根秀一郎書記長インタビュー(下)

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   派遣労働者が厳しい労働環境におかれていることがクローズアップされてきている。厚生労働省の発表では、定住先がなく、漫画喫茶やネットカフェで寝泊まりするいわゆる「ネットカフェ難民」の数は全国で5,400人(推計)。しかも、定住する場所が無い、ワーキングプアの数は今後爆発的に増える可能性があるという。前回に引き続き、派遣ユニオン書記長でグッドウィルユニオン書記長の関根秀一郎さんに話を聞いた。

――派遣労働者の環境が大きく変わったのはいつごろからでしょう。

山谷、釜ヶ崎といった「寄場」で働く労働者のところには手配師がいて昔から給料を「ピンはね」していました。しかし、「ピンはね」は労働条件の著しい低下を招くとして、職業安定法も労働基準法も禁止していました。ところが、1985年に労働者派遣法が成立し、1986年に施行される。この労働者派遣法は「ピンはね」を「マージン取得」という形で一部例外的に認めることになった。その時点では、「派遣業務」は専門性の高い業務などに例外的に認めただけで、雇用市場にはそれほど大きな影響を与えなかった。ところがその後、規制緩和が繰り返し行われ、1999年に派遣可能業務が原則自由化されてしまう。このときに「ピンはね」が事実上解禁されてしまったわけです。当然、雇用市場に与える「ピンはね」の影響はものすごく大きくなった。

「ワーキングプア」は両親のもとで「パラサイト」している

「ホームレスに近づく人たちがどっと出てくる可能性がある」(派遣ユニオン・関根さん)
「ホームレスに近づく人たちがどっと出てくる可能性がある」(派遣ユニオン・関根さん)

――派遣業者のマージン取得が派遣労働者を苦しめている?

そうですね。当時、手配師が取るのは1割だったから「ピンはね」だったんですけど、合法的にできるようになってからはマージンとして給料の3割くらい取られる。驚かれるでしょうが、マージンの規制が労働者派遣法には全くないんです。 山谷などの肉体労働者は、1日の日雇い賃金が1万~1万2千円を下らなかった。今も当時も貧困のなかにいることは変わらないけど、当時は、その日泊まる木賃宿代やお酒を一杯やるお金が確保できていたのに、今はさらに引かれていますから。日雇い派遣は肉体労働でも、1日7千円程度が相場ですからね。マージンとして3~4割引かれていたら、とてもじゃないが、独立した生計を営んでいくのは不可能ですよね。
いわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる人たちは、20代~30代の人たちが多いけど、彼らは就職の超氷河期に職業生活をスタートしたんですよ。「正社員」の募集がないときに、やむなく「非正規」として働き始める。非正規雇用は職歴にならないから、再就職しようとしても、正社員として就職できない。つまり、非正規雇用で固定化されてしまっている。言ってみれば、非正規雇用の「団塊の世代」になってしまっている。正社員として働きたくても「ワーキングプア」とよばれるような働き方をさせられている。
彼らは独立生計を営めないから、両親のもとで、いわゆる「パラサイト」ということで吸収されている。しかし、「パラサイト」で吸収できるうちはまだいい。あと10年、この状態が固定化されていったらどうなるか。親が高齢化し60~70代になると、吸収できない構図になる。そうなったときにネットカフェ難民・ホームレス型に近づく人たちがどっと出てくる可能性があるのではないか、そういう風に私は思っています。

――厚生労働省の発表では、いわゆる「ネットカフェ難民」といわれる人の数は推計で5,400人らしいですね

実際、今は「ネットカフェ難民」はそれほど多くないですよね。何らかの事情で親と断絶している人たちが、独立していかなければいけないから、「ネットカフェ難民」化するわけです。今はダムが決壊する前夜で、このまま「ワーキングプア」の状態が固定化されてしまったら、ダムが一挙に決壊するようなかたちで、「ネットカフェ難民」化する人たちが出てくる。そんな危険性が既に見え始めている、と私は思っています。

―― 一方で「ワーキングプア」が問題になるとき、最近の若者が弱くなったのではないか、あるいは、自由に働きたい時に働けるから、好き好んで「派遣」を選んでいるのでは、といった議論もありますよね

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