2024年 4月 30日 (火)

過剰出費はコンパニオン代? 国交省財団の仰天「大名」旅行

   国交省所管の財団法人「公共用地補償機構」がほぼ丸抱えの職員旅行をしていた問題で、「過剰出費」が何に使われたかが話題になっている。一人当たり1泊8~9万円はどうしても解せない。財団側は言葉を濁すが、夕刊紙は元職員の証言として、コンパニオン代などに使っていたと報じた。冬柴国交相も驚いたほどのムダ使い。その背景には、公共事業削減で道路特定財源が余っていることがあるようだ。

普通なら1泊3万円が8~9万円

丸抱え旅行を取り上げたニュース番組(テレビ朝日から)
丸抱え旅行を取り上げたニュース番組(テレビ朝日から)

   「やってみたいですね。それは大名旅行じゃないですか」

   テレビ朝日系で2008年3月7日朝放送されたニュース番組の中で、ある旅行会社社長がこう驚いて見せた。それは、公共用地補償機構が毎年1回行っていた職員旅行のことだ。1泊2日で宮城の松島や愛知万博などを訪れていたというが、1人当たりの出費が8~9万円。この社長は、「普通は、1泊3万円ぐらいかな。5万円の予算があったら、かなりいい旅ができますね」と指摘した。

   とすると、過剰出費分は何に使われたかが焦点となる。日刊ゲンダイはこの問題で7日、「やっぱりコンパニオン代だった」と報じた。同紙に対し、元職員が東海・東北地方などへの職員旅行について口を開いたというのだ。それによると、ホテルでは毎回、大宴会となり、タレントの卵のような若いコンパニオンを呼んで騒いでいた。お酌を受けながら、伊勢海老が躍る舟盛りを楽しみ、その後は2次会会場のスナックでカラオケ三昧だったという。出費のほとんどが、財団持ちだった。

   公共用地補償機構は、06年度の事業収入18億円余の7割が、ガソリン税などの道路特定財源で賄われている。しかも、特定財源からの支出はすべて、一般競争入札ではなく随意契約によるものだった。つまり、判明した過去5年間の職員旅行費2000万円余は、ほとんどが税金で充てられていたに等しいわけだ。職員の3分の1は、国交省からの天下りで占められている。

公共用地補償機構の広報担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、コンパニオン代などに使ったかについて、「そこまで調べておらず、私は当時いなかったので分かりません。(過剰出費分は)交通費と宿代などです。職員の福利厚生というプライバシーにかかわりますので、旅行の中身の説明はご容赦願っています」と答えた。

   また、旅行自体については、「福利厚生の一環で、問題はないと考えています。旅行の中で業務会議も開いています。しかし、国民からの批判や大臣の方針を真摯に受け止め、旅行代金の半額を役員と管理職が自主返還することにしました」と話した。「誤解を避ける」として、08年度の職員旅行は取り止めるという。

背景に道路特定財源の余剰金

   こうした豪華旅行が許される背景には、財団の親方日の丸体質のほかに、道路特定財源を巡る事情がある。

   財源の多くは、国交省の道路整備特別会計に繰り入れられる。しかし、一般会計と違って、余剰金がほかに回されることはなく、所轄省庁が外部の目を気にせずに自由に使うことができる。さらに、朝日新聞の7日付記事によると、公共事業費の削減で道路整備費が縮小され、数千億円規模の余剰金が生まれて、財源を使い切れなくなっているというのだ。

   その結果、道路とは関係の薄い出費が増えた。そして、整備費名目で、ガラガラの駐車場への貸付金、啓発というミュージカルやCDの制作、中には、カラオケセットやアロマテラピー器具の購入にまで使われていることが次々に明らかになった。

   余剰金を反映して、公共用地補償機構では、内部留保が資産合計の4割に当たる5億円余にも膨らんだ。これは、国の基準である3割を上回ってしまっている。このダブついた金が、豪華旅行にも使われたわけだ。

   前出のテレビ朝日系のニュース番組では、あるコメンテーターがこう怒っていた。

   「余った金は、一般財源にするべきでしょう」「(旅行中)会議開くなら、旅行に行くなよ」

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