世界最大の珊瑚礁「グレート・バリア・リーフ」の島をPRする仕事を地元自治体が募集したところ、報酬が高額だったことから、世界中から応募が殺到している。PR動画を投稿して応募する仕組みなのだが、その中には「意外な応募者」もいた様子で、現地メディアでは、ちょっとした話題になっている様子だ。世界160か国以上から、1万1000以上の応募ビンラディン容疑者を名乗る「自己PRビデオ」この求人は、グレート・バリア・リーフがある、オーストラリアのクイーンズランド州観光公社が2009年に始めた「グレート・バリア・リーフの島々キャンペーン」の一環として行われているもので、世界中から「アイランドケアテイカー(島の管理人)」1名を募集している。業務内容としては、半年間、島の管理人として働きながら、グレート・バリア・リーフの島々を旅して、自らの体験をブログで報告するなどのPR活動を行うことだ。報酬の額が異例で、何と半年で15万豪ドル(約918万円)。プレスリリースでも、「過去に類のない夢のような仕事」と、自画自賛しているほどだ。募集は1月上旬に始まり、特設ウェブサイトを通じて、自分の連絡先と写真、PR動画を送信して応募する。動画はウェブサイト上で公開され、その多くは「ユーチューブ」にも掲載されている。「夢のような仕事」なだけに注目度は高く、すでに世界160か国以上から、1万1000以上の応募があったという。ところが、その中に、01年9月11日の米同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディン容疑者を名乗る動画があり、ちょっとした議論を呼んでいるのだ。動画は1月下旬に投稿され、ビンラディン容疑者とみられる人物が白い帽子をかぶって登場。約30秒にわたってアラビア語で語りかける、という内容だ。この動画につけられた英語の字幕が、「応募するにあたっての自己PRメッセージ」となっている。自己紹介の内容は、「ハロー、アフガニスタンのオサマ・ビンラディンです。私がベストな候補者です。社交的で、楽しいことが好きです。屋外と、砂地が好きです。大規模イベントの運営をした経験もあります。趣味は、料理、アート、工芸などです」と、かなりくだけた内容だ。さらに、動画の最後には「フェースブックの『ビンラディン・オサマ』でコンタクトできます」と、SNSを使っていることさえ明かしている。「本物の動画に、何者かが、いたずらで字幕をかぶせたのでは」もっとも、この動画は「過去に発表されたビンラディン容疑者の本物の動画に、何者かが、いたずらで字幕をかぶせたのでは」との見方が有力だ。実際、地元紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によると、求人を出したクイーンズランド州観光公社は、「応募内容にはクリエイティブさを発揮して欲しいですが、選考に残りたいのであれば『適切な内容であること』という選考基準を満たしている必要があります」とした上で、「ウェブサイト経由で『オサマ・ビンラディン』の応募がありましたが、内容が適切ではないということで不採用になりました」と明かしている。さらに、公共放送のABCによると、クイーンズランド州のボイル観光相は、「ジョークを飛ばそうとする人もいるでしょうが、時々『行き過ぎ』もあって、それは余り面白くありません」と、不快感を示してもいる。応募の締め切りは2月22日23時29分(世界標準時、日本標準時では2月23日8時29分)で、まだ2週間近くある。今後、どんな応募があるのか、注目が集まりそうだ。
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