2024年 5月 3日 (金)

スーパーは特色あれば生き残る 中堅「マルエツ」「ライフ」が絶好調

   長引く不況で消費者の生活防衛意識が高まるなか、大手スーパーマーケットが苦戦を強いられている。イオンは2期連続の減益、セブン&アイ・ホールディングスはスーパー部門が減益。一方、中堅のマルエツとライフコーポレーションは最高益を記録した。その秘けつは何なのか。

「安いから売れて、いつ行っても新鮮なものを扱っている」

   大手スーパーマーケットの2009年2月期連結決算が出そろい、軒並み減益となる一方、中堅スーパーの中には元気がいいところがある。

   全国243店舗展開するマルエツは、2期連続で営業最高益を更新した。大手が苦戦しているのを尻目に、好調な理由は何なのか。

   マルエツをよく利用しているという都内在住の50歳代主婦は、魅力をこう語る。

「生鮮食品がとにかく安い。安いから売れて、いつ行っても新鮮なものを扱っています。ある大手スーパーは安売りの日とそうでない日の価格差が大きく、安売りの日以外は利用しません。同じように考えるお客が多いようで、商品の回転が悪くなって、鮮度も落ちる気がします」

   1匹単位で売っている魚も豊富だ。また、魚をおろすサービスも1匹からしてくれる。高齢者が多い地域なので評判がいいという。

   広報担当者によると、生鮮食品は鮮度の良い地場商品を多く扱っているほか、栽培方法と産地にこだわった有機栽培野菜の品揃えも強化している。また、これまで週2回行っていたセールに加えて、生鮮食品を中心に旬の食材を安くする「ダイナマイト市」を毎週木曜日に設定し、08年末から実施している。

   自社で経営する料理教室が、店内の調理実演コーナーや配布するレシピ作りに協力するという試みも好評だ。

   大手スーパーにはないオリジナル性を出したおかげで、既存店売上高は前年同期比2.3%増、客数は同比1.9%増、客単価は同比0.4%増となった。

「お客さまは食品に安さを第1に求めますが、接客、店がきれい、買った後の満足感といったサービス面も重視されます。また、高齢化への取り組みも進めています。高齢の方や身体の不自由な方への接客を専門とする『サービス介助士』の資格を持つ従業員は240人いますが、今後は全店の店長と管理職に資格を取らせる予定です」(広報担当者)

   マルエツの09年2月期(08年3月1日~09年2月28日)の連結業績は営業収入(売上高に家賃収入などを加えた)が前期比2.0%増の3423億3700万円、営業利益は同比9.7%増の83億400万円、経常利益は同13.2%増の78億4700万円、当期純利益は同31.7%増の62億300万円だった。

大手は商圏が広すぎて、地域ニーズに応えられない

   5期連続で営業最高益を更新しているのは、食品中心のスーパー「ライフ」を全国203店舗展開するライフコーポレーション

   利益率を下げて、畜産物と農産物を安く提供したことが集客につながり、既存店売上高は前期比2.4%増、客数が2.0%増、客単価が0.4%増と好調だった。

   一方で、同社は大手のように数百品目にわたる値下げを実施していない。その理由をこう説明する。

「大規模値下げをするには利益率を上げるために商品数を絞らなければなりません。結果的に失うお客も出てくる。当社は(大規模値下げを)やろうとは考えていません。それよりも週ごとにタイムリーな商品を安く提供し、中規模スーパーだからこそ、できることを進めていきます。大手のネックは商圏を広くとらなければならず、結果的に地域のニーズに応えられなること。それに比べ中規模スーパーは地域に根ざし、細かな要望に応えられる、という強みがあります」

   ライフコーポレーションの09年2月期(08年3月1日~09年2月28日)は、営業収入が前期比5.3%増の4629億6800万円、経常利益は同比13.5%増の110億6100万円。当期純利益は同比27.4%増の54億5000万円となり、計画数値を上回った。部門別売上高は生鮮食品が前期比5.9%増、一般食品同比7.1%増。

   不況下で消費者が外食を控え、食材を買って家庭で調理する「内食回帰」の傾向が強まるなか、大手各社は「生活応援」「家計応援」などと銘打ち、数百から数千品目にわたる大規模値下げを08年後半から実施。「値引き合戦」へと発展した。

   にもかかわらず、イオンの09年2月期(08年2月21日~09年2月28日)売上高は5兆2307億8600万円で、前期比1.2%増となったが、営業利益は1243億7300万円で同比20.3%減。2期続けての減益となっている。最終損益は27億円の赤字(前期は439億円の黒字)で、7期ぶりに赤字に転落した。

   セブン&アイ・ホールディングスはイトーヨーカ堂をはじめとするスーパー事業の営業利益が、前年比27.4%減の247億4200万円(08年3月1日~09年2月28日)。

   大手の業績はどこもあまりはかばしくない。値下げするだけでは生き残っていけないかもしれない。

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