2019年 9月 19日 (木)

東大「一人勝ち」ますます進む 京大や早慶「何をやっとるのか」
(連載「大学崩壊」第2回/国語専門塾代表・中井浩一さんに聞く)

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   「東大一人勝ち」。他大学からため息とともに漏らされる言葉だ。研究・運営費の多さを指すらしい。ただ、研究だけでなく、東京大学は「キャリア官僚」を最も多く輩出してきた大学でもある。しかし、「官僚が国を支える」時代が終わりを告げ、東大の存在意義に疑問符を投げかける声も出てきた。東大を「優遇」する必要は今後もあるのだろうか。「『勝ち組』大学ランキング どうなる東大一人勝ち」(中公新書ラクレ)など大学関連著書も多い、国語専門塾「鶏鳴学園」代表の中井浩一さんに聞いた。

大学院重点化、産学連携の体制作りも東大が一番早かった

「東大はがんばってる、なんていうと文句を言われることもある」と話す中井浩一さん。中井さんは京大OBだ
「東大はがんばってる、なんていうと文句を言われることもある」と話す中井浩一さん。中井さんは京大OBだ

――「東大一人勝ち」について中井さんが取り上げた本の出版が2002年でした。その後04年に国立大学が独立行政法人化されました。「東大一人勝ち」の状況に変化は出てきたでしょうか。

中井   ますます「一人勝ち」が進み、差が広がっています。運営交付金が多いとか、論文発表数や引用数が多いとか、そういう数字に表れるランキング的な話ばかりでなく、総合的な力で他大学は水をあけられています。教養学部改革や大学院重点化でも、法人化や産学連携の体制作りでも、東大が一番早く、根本的なことを行っています。改革のパワーでは最強であると言っていいと思います。

――差が広がるのはなぜでしょうか。運営交付金など「国費」投入額が国内1位であり続けていることが影響しているのでしょうか。2008年度の運営交付金は、東大は約882億7000万円で、2位京大より274億円以上も多く受け取っています。

中井   お金の問題も影響してないとはいいません。しかし、本質的にはまったく別問題だと考えています。そもそも独立行政法人化以降、旧国立大は、国立大時代よりはるかに自由に独自の視点で動けるようになりました。ところが未だに東大の背中を見ながら様子見をしている。これは私立大もそうです。東大が先にやって、うまくいけば自分たちも導入、失敗すればしないという姿勢です。京大など2番手、3番手は何をやっとるのか、ということです。新しい価値観、新しい動きを打ち出す気構えが感じられない。これでは東大に「一人勝ちしてくれ」と言っているようなものです。

――今話に出てきた京大は、物理や化学などの理系のノーベル賞受賞者が、東大より多いとよく言われます。東大とは違う独自性を発揮しているとは言えないでしょうか。

中井   そういう部分を全否定する気はありません。しかし、ノーベル賞受賞者が京大を卒業したのって何十年前の話ですか。差があるといってもごくわずか数人差です。確かに、京大には例えば1970年前後ごろ、今西錦司や桑原武夫、梅棹忠夫など学問をリードする人材がいて輝いていた時代がありました。しかし、それ以降は凋落がはなはだしい。その原因は、学内を優遇する親分・子分人事にあります。
   一方東大は、90年代に建築家の安藤忠雄や京大卒の上野千鶴子を教授として外部から迎え、最近では早大卒の政治学者姜尚中を迎え入れるといった、思い切った人事をしています。学内の序列で順番待ってる人がいるのに、よそから教授を連れてくるのは大変なことです。また、やはり90年代ですが、東大は教養教育の新しいカリキュラムを実施し、そこから生まれた本を出版、「知の技法」と「ユニヴァース・オブ・イングリッシュ」はベストセラーになりました。こうしたことができる力が東大にはある、ということです。他大学では感じられないパワーが確かにあります。
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