2024年 5月 4日 (土)

入江選手の世界新記録 「国際水連」なぜ認めないのか

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   競泳の入江陵介選手の世界新記録に対して、国際水泳連盟(FINA)が「待った」をかけていることが波紋を呼んでいる。入江選手が着用した水着の認可が先送りされ、このため世界新記録も認められないという事態になっているからだ。FINAの認可基準が不明確ということもあり、欧米による日本人選手へのいやがらせなのではという、うがった見方すら出ている。

「FINAがどういう基準で判断を下したかが不明確」

   入江陵介選手が世界新記録を更新したのは2009年5月10日、オーストラリア・キャンベラで開催された「競泳第1回日本・オーストラリア対抗」。これまでの記録を1秒08上回った。だが、FINAはこの記録に「待った」をかけている。

   FINAは今回、世界のメーカー21社が申請した水着348のうち202タイプを認可。136タイプには再提出を求め、10タイプを却下した。このうち、入江選手が世界新記録を打ち立てた際に着ていた水着も「再提出」とされた。

   この水着は、ラバー素材を使用したデサント社製のもの。ラバー素材はいま、注目の素材で、新記録ラッシュにわいた日本選手権でも、女子背泳ぎ3冠の寺川綾選手が着用(ミズノ製)。フランス選手権・男子100メートル自由形で優勝したアラン・ベルナール選手もやはり、イタリア・アリーナ製のラバー素材水着を着ていた。なお、ベルナール選手の水着は繊維メーカーの山本化学工業がラバー素材の提供をしている。こちらも再提出を迫られた。

   入江選手の水着は、「水着に空気をためる効果を発揮する構造をつくってはいけない」というルールに触れたとされる。ラバー素材には透気性がないため、体と水着の間に空気の膜ができ、浮力となりうる可能性があるというのだ。

   デサントはJ-CASTニュースに対して、「FINAの規定があることはわかっていたが、牴触しないと考えていた。今回の審査により再提出を指示されたが、FINAがどういう基準で判断を下したかが不明確。現在、問い合わせている段階だ」と話す。デサントはラバー素材自体には問題はないと見ている。今後、30日以内の再提出に向けて、水着の修正を急いでいる。

欧米の日本人に対する風当たりが強い?

   ところで、疑問はなぜ、今になって水着の認定の是非が問われているかだ。認定水着を選んで着ればよかったのではないのか。繊維メーカーの山本化学工業は、この疑問について次のように説明する。

   世界中の水着メーカーは08年10月から09年3月に、公認水着の許可申請をした。例年は2~3か月に1度、提出された水着の審査が行われる。しかし、09年に限ってはFINAが水着規定の改定を何度も行い、5月19日までに1着も公認をしていなかった。だから、どの選手が着用した水着も「未許可水着」ということになっていたというのだ。

   産経新聞は5月21日、再提出が求められた大半の水着がラバー素材と見られることから、ラバー素材の水着が規制されるのではないか、という記事を掲載した。だが、すべてのラバー素材が不許可というわけではない。日本の中小メーカーが作ったラバー水着のうちで認可が得られたものもある。ただし、日本代表選手が着用する例は少ないという。あるメーカー関係者は、「メーカー側の水着の作り方に問題があったと見られるが、それにしてはFINAのルールが明確でなかったと思う。特定の水着メーカーを擁護しているようにも受け取れる」と非難する。

   あるスイミングスクールの関係者はこうした事態について、以前にも平泳ぎのルール改正があったことを例に引き、「水泳に限らず、欧米の日本人に対する風当たりが強いのはよくある話だ」という。今後は明確な基準の中で競うべきだと指摘した。

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