2024年 4月 27日 (土)

市橋容疑者東京への「怒号移送」 マスコミ「狂騒曲」の一部始終

   市橋達也容疑者(30)が大阪市内で逮捕され、身柄は捜査本部のある千葉県警行徳署まで移送された。報道陣も異例の体制を敷き、新幹線には多くの報道陣が同乗し、車内からは、少なくとも3社が生中継した。

   東京駅到着後のホームでは、容疑者は、怒号の中で「もみくちゃ状態」。東京駅のホームでは将棋倒しが起きて「キャー!」という悲鳴も聞こえるなど、これまでにない混乱ぶりで、マスコミが演じた、意味のない「狂騒曲」が際立った。

新大阪駅から「大集団」が乗り込む

   大阪南港で逮捕された市橋容疑者は、約10人の捜査員に囲まれ、新幹線で身柄を東京に移されることになった。新大阪駅から東京駅経由して行徳署にたどり着くまでの約3時間、各現場は大混乱となった。

   容疑者を乗せた新幹線は、新大阪から東京駅に向かう新幹線としては最終便にあたる、「のぞみ58号」。始発は博多駅(18時54分発)で、途中駅にあたる新大阪駅から報道陣を含む「大集団」が乗り込んだ。

   市橋容疑者は、21時20分の出発時刻直前に、関係者専用のエレベーターからプラットホームに現れ、「あけて!あけろ!」といった警察官やJR関係者の怒号の中、新幹線に乗り込んだ。この新幹線はN700系と呼ばれる最新型の車両で、市橋容疑者は、11号車にある「多目的室」と呼ばれるスペースに収容された。

   通常は、授乳、おむつ交換、着替えや、具合の悪い人が横になるためのスペースとして利用されている。多目的スペースの周辺は、警察官やJR職員がガードしており、近くのデッキは報道陣で「すし詰め状態」が続いた。

   新大阪から東京までの約2時間半のうち、名古屋駅を22時10分に出てから新横浜駅に23時28分に着くまでの1時間18分、ノンストップで走り続けるのだが、この間もマスコミ間の競争は繰り広げられた。

   少なくとも日本テレビ、テレビ朝日、TBSの3局が、新幹線が高速走行するなか、多目的室脇のデッキから生中継を行ったほか、NHKも「ニュースウォッチ9」の中で新幹線車内の様子を伝えた。

   品川駅周辺を走行中の23時40分には、日本テレビの記者が

「JRの職員の方々がですね、こうして我々の(聞き取れず)活動に対して横で大きな声を出される状況がある」

などと、JR側が取材活動を邪魔していると言わんばかりのレポートをするという一幕もあった。

「無法そのもの、ここは法治国家なのかと疑う」

   東京駅には、ほぼ定刻の23時45分に到着。ここでも大混乱が起きた。車両からは、通常の乗客と報道陣が降ろされたのだが、乗客はそのまま野次馬になり、ホームの混雑は加速した。一旦ドアが閉じてホーム側のブラインドが降ろされ、市橋容疑者は11号車から先頭の16号車に移動。新幹線が到着してから市橋容疑者が下車するまでに、実に13分もかかった。

   市橋容疑者がジャンパーに覆われた姿でホームに降りてくると、容疑者はたちまち「もみくちゃ状態」に。日本テレビが生中継していたほか、複数のレポーターが声を裏返らせながら混乱ぶりをレポートしていた。興奮のあまり、レポートもままならない状態だった。

   市橋容疑者は5分ほどで車にたどり着いたが、その間、数回にわたって将棋倒し状態になり、「キャーッ!」という悲鳴もあがった。

   車に乗り込む時、市橋容疑者のジャンパーが取れて顔が見え、報道陣のフラッシュが激しくたかれ、ここでも10分程度足止めされた。

   この2時間ほどを見ると、市橋容疑者の写真を取ることができた以外は、「混乱した」だけで、新しく判明した事実は皆無だとも言える。

   今回の「狂騒曲」をめぐっては、一部の市民メディアなどから、早速「(過熱報道を指す)メディアスクラム」だとの声もあがっている。

「この光景を見て異常と感じたのは私だけだろうか。容疑者段階における男性を取り囲み、怒号を浴びせる、新幹線の改札もお構いなしに突破する。まさに無法そのもの、ここは法治国家なのかと疑う」(2009年11月11日、JANJAN)

   市橋容疑者が捜査本部がある千葉県警行徳署にたどり着いたのは、東京駅での混乱から約30分後の0時45分頃。翌11月11日午前から、本格的な取り調べが進んでいる。

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