2024年 4月 20日 (土)

甘い個人情報管理に厳しい批判 「フェースブック」大慌てで改善策

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   世界最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェースブック」が、ユーザーのプライバシー保護問題で揺れている。新しく追加した機能からユーザー情報が「漏れる」うえ、プライバシー設定の方法も不親切だとの指摘が出ているからだ。

   米国では上院議員からも批判が飛び出した。最後は経営トップが改善を約束したが、今後もこの問題がくすぶる恐れもある。

知らないうちに「個人情報」公開される

プライバシー問題は「鎮火」するか
プライバシー問題は「鎮火」するか

   フェースブック(FB)は2004年2月、米ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグ氏(現CEO)らが創業。学生間のコミュニケーションサイトとしてスタートして以降、米国内だけでなくカナダや英国にも人気が広がり、08年には日本語版が公開された。今日のユーザー数は世界で4億人を超え(FB発表)、世界最大の規模に成長している。

   10年4月、FBは新機能を加えた。友人たちとさらに「つながり」を強めるためとしているが、そのうちの一つ、「即時パーソナライゼーション」に疑問の声があがった。FBにログインした状態で、FBが提携するウェブサイトにアクセスすると、わざわざパスワードを入力せずにそのまま「ログイン」になる仕組みだ。

   提携サイトは、ウェブ上でマイクロソフトの「オフィス」のドキュメントを利用できる「Docs」や、ネットラジオの「Pandora」などがある。FBの友人関係を保ったまま、別のサイトでサービスを共有できるのだが、問題はプライバシーの「漏えい」だ。例えばDOCSにログインすると、FBで公開しているプロフィルや友人リストなどの情報が、友人以外の第三者やDocs側にも閲覧可能になってしまう。

   FBに書かれている即時パーソナライゼーションの説明には、「あなたがすべてのユーザーに公開している情報だけが使用されます」とある。プライバシー設定で公開対象を限定すれば、全員に見られるわけではない。ところが、この設定事項は数が多くて複雑だ。しかも、自分の投稿内容や、友人・家族構成、既婚・未婚の別、居住地といった情報は、最初の設定では公開対象が「すべてのユーザー」とされている。ユーザーが何も変更を加えない限り、知らないうちに公開されてしまう危険性がある。

上院議員もプライバシーに「懸念」

   4月22日、ザッカーバーグCEOはFBのブログで新機能を説明した。コメント欄には賛同もあったが、「このサイトでプライバシーがなくなるのはご免だな」「私の好きな曲が何かをPandoraに知ってほしくない」といった反対意見や、「何のための機能だかよく分からない」という人もいる。

   米国の上院議員も動いた。ITニュースサイト「TechCrunch」は、4人の上院議員が4月27日付でザッカーバーグCEO宛に送った書簡を掲載。そこには、FBのプライバシーポリシー変更と、外部ウェブサイトでの個人データの使用について、「懸念している」とある。

   即時パーソナライゼーションについては、FBの提携サイトがユーザー本人だけでなく、友人リストや友人たちの公開情報にまでアクセスできる点を指摘。これらは、「本人が承諾しない限りは非公開とされるべき重要な個人情報」とした。だがFBは、本人の求めがあって初めて非公開とする方式をとっている。議員らは、あらかじめ非公開としてユーザーが許可した場合に公開する「オプトイン」とし、もっと簡素な仕組みにすべきだと主張した。

   ザッカーバーグCEOは5月27日、FBのブログで、「ユーザーから多くのフィードバックをいただき、時間をかけて検討した」としたうえで、ユーザーが個人情報を管理する仕組みを簡素化するよう変更を加えることを明らかにした。自分の情報を誰に公開するかを1回の設定で決められるようにしたり、プライバシー情報の項目も絞り込んでシンプルにしたりする。ユーザー情報を別のウェブサイトに漏れないような処置も施すという。これらは数週間以内に実施される模様だ。

   ひとまず「プライバシー問題」にケリをつけた形だが、かなりの批判を受けたことが今後のFBにどういう影響を与えるか注目される。

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