「世界では国籍変更ごろごろ」 為末大の猫ひろし問題解説が論議

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   ロンドン五輪を目指す猫ひろしさん(34)について、同じ陸上選手の為末大さん(33)が、国籍変更なら出場ダメと陸上界は見ないとツイッターで解説した。世界では国籍を変える話がごろごろしているというのだが、論議を呼んでいる。

   カンボジアのオリンピック委員会がマラソン代表に選んだ猫ひろしさんは、国際陸連から物言いがついて、五輪出場が危ぶまれていると報じられた。

陸上選手はこの手の話にはもう慣れてしまっている

ツイートが論議に
ツイートが論議に

   このことについて、4度目の五輪を目指す侍ハードラーこと為末大さんが2012年4月14日から連続ツイートした。為末さんは、国籍変更について、その倫理的な是非論については言及を避けたものの、次のように解説した。

「たぶん国際的な陸上選手の大半の反応は、え、それをアウトにしちゃうの?だと思う」

   その理由として、アフリカなどの有望選手が中東の国などに国籍を変えて五輪に出場するケースが、ここ10年で増え続けていることを挙げた。それも、選手らは多額の金銭提供を受けているのが実情だというのだ。為末さんによると、「選手と話していると、いくらでオファーされたとか、10年間毎月いくら入る契約とか、そういう話がごろごろしている」。だから、「倫理的な是非はともかく、陸上選手はこの手の話にはもう慣れてしまっている」そうだ。

   そのうえで、猫さんについて、順位にもほとんど関係がなく、国際的な陸上界は「どうでもいい」との反応ではないかとした。ただ、猫さんの場合は、先進国から途上国の枠を取る、トップ選手らとは逆の特殊なケースであり、「五輪を売名行為に使っている」と問題にされうると指摘した。

   為末さんは、メダル争いにも絡まない途上国では、オリンピックへの関心が低いとし、猫さんが出場の「記念枠」を使うことについて、カンボジアにデメリットはほとんどないとも言う。柔道が世界的に人気なのは日本人が国籍を変えて普及に努めたからだとし、「猫さんがせっかく国籍を変えたなら、カンボジアに日本のマラソンを伝えて、スポーツの父になってほしい」とつづっている。

「だから何って感じ」などと、批判は依然多く

   為末大さんのツイッター解説について、ネット上では、様々な論議が出ているようだ。

   陸上界で国籍変更が度々あることに驚く声とともに、「日本でぐちゃぐちゃ言うことなのかねぇ」「騒いでいるのは何も知らんやつだけだろ」との感想もあった。一方で、為末さんが倫理的な是非論を避けたため、「だから何って感じだけど」「猫とは全然話が違う」「五輪使って遊ぶなや」と、依然として猫ひろしさんに批判的な声も多い。

   ただ、オリンピックでは、その存在意義をなくすことになりかねない選手の国籍変更に対して、ますます厳しくなっているようだ。

   巨額の移籍金で有力選手を買ったケースが問題になって、国際陸連は2005年に、国を代表した経験のある選手は、国籍変更後3年間は代表になれないと規定を強化した。ところが、経験がない有望選手を青田買いするケースが出てくるようになって、12年の規定変更で、こうした選手にも縛りがかかるようになった。

   猫ひろしさんの場合は、国籍取得が11年10月とまだ1年が経っておらず、カンボジアに1年以上住んでいた実績がないため、国際陸連の特別承認が必要になる。しかし、それには重大で意義深い理由が必要とされ、カンボジアのオリンピック委員会が陸連から説明を求められていると報じられた。

   さらに、同じカンボジア国籍のライバル、ヘム・ブンティン選手(26)にもタイムを越され、その出場理由が疑問視されている。ブンティン選手は、カンボジア陸連などとの確執から出場は難しいとされているが、それでもほかの陸上競技に五輪枠が移る可能性があり、猫さんがピンチであることに変わりはないようだ。猫さんは4月16日のテレビ番組で、オリンピック委員会からの連絡を待つしかないと言いながらも、「苦しい」と胸の内を語った。

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