2024年 4月 25日 (木)

リニア中央新幹線着工に意外なハードル 電力不足の中で原発1基近い使用量が論議に

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国や電力会社の都合で止まってしまう?

   一方で、国交省が2011年5月に必要なインフラと認めてリニアの建設を決めているとして、「運行に必要な電力については、国と電力会社の責任において供給していただけるものと考えています」とコメントした。これは、電力不足になったときの責任は自らにないとも受け止められるものだ。

   リニアが必要なインフラというのは、JR東海が、2つのポイントを挙げている。1つは、東海道新幹線が50年近く経って老朽化していることだ。交通量が多く、橋げた改修などのために運行を止めるわけにいかず、バイパスとしてリニアが必要だという。もう1つは、東海地震で想定される震源に近く、やはりバイパスが必要になることがある。リニアはトンネル内を走るなどのため、揺れが伝わりにくく地震に強いそうだ。

   とはいえ、東海道新幹線は、バブル期をピークに利用が横ばいの状態が続いている。今後、高齢化や人口減、慢性的な不況などで利用が減少に転じることも考えられる。リニアはさらに割高の運賃になる見込みだが、それでも安定的な収入が見込めるほどの需要はあるのか。

   JR東海の東京広報室では、リニアの運賃について、東京―大阪間で東海道新幹線より1000円ほど高い1万5000円ほどに留めれば、大幅な時間短縮効果で十分な需要が見込めると説明する。

   国の交通政策審議会では、経済成長率0%という最も慎重な試算が評価されたといい、東海道新幹線も含めての収入が、名古屋開業で5%増、大阪開業までに徐々に増えて15%増と見込んでいるとした。9兆円もの建設費はJR側がすべて賄うが、そんな中でも、「健全経営を堅持しつつ、開業前後を通じて安定配当を継続できることを確認しています」と言う。

   ただ、あくまでもそれは想定の電力供給があった場合であり、国や電力会社の都合によっては、大幅な電力不足にならないとは限らない。リニアが止まったり利用が低迷したりして、運行後に公的資金に頼る状況にならないのか。今後、さらなる精査が求められそうだ。

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