医療事故を減らす報道とは? 医師、被害者、記者がシンポジウム

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   日本医学ジャーナリスト協会が主催した公開シンポジウム「医療事故報道を検証する」が2012年9月15日、東京で開かれた。医療事故の被害者、医師、報道を代表する3人の講演に、会場からも活発な意見が出された。

「医療関係者だけの安全対策は甘い」

   永井裕之・医療の良心を守る市民の会代表は、1999年の東京都立広尾病院事件で奥さんを亡くした。看護師が薬と間違えて消毒薬を点滴した事故だったが、事実は伏せられ病院の説明はあいまいなままだった。テレビ報道で事故が発覚、永井さんが都知事に直訴して急展開し、「報道が密室の壁を開いた」と感じた。

   出河雅彦・朝日新聞編集委員は「医療の質に役立つ報道」「再発防止のための掘り下げた報道」が重要としながら、現実の「医療事故報道」は医療担当ではなく警察担当の仕事で、不十分と認めた。実際、同じような事故が繰り返されている、として出河さんが取材した福島県立大野病院事件、薬害エイズ事件が例示された。

   東京女子医大事件の当事者でもある佐藤一樹医師は、医療事故報道の不正確さを強調した。佐藤さんは誤った報道が社会の誤解を招いている例として、広尾病院事件の医師法21条の解釈をめぐる裁判報道を取り上げた。

   条文は「医師は死体を検案して異状があると認めた場合は24時間以内に所轄警察署に届けなくてはいけない」となっており、裁判では、検案 (死体外表の観察) 時点の論争があったが、佐藤さんによると、その争点に触れず、「届けの遅れ」だけの報道がほとんどで、医療事故が起きたら警察へ、の誤った世論を誘導している。報道が「売れる記事」に偏りがちとも批判した。

   ディスカッションでは、いかに医療事故を減らすかが1つの焦点になった。医療安全対策は進んではきたが、「医療関係者だけの安全対策は甘い。他産業の対策を取り入れるべき」との声が強く出た。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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