野田VS安倍の党首討論どうなる? 安住の「偏向サイト」発言にニコ動が激怒

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   民主VS自民の総選挙前の党首討論は実現するのか――。申し入れを受けた安倍晋三総裁が逆提案した「ニコニコ動画」(ニコ動)での生中継をめぐり、民主・自民それぞれの思惑が絡んで開催自体が不透明な雲行きになっている。

   民主側は安倍氏の条件に難色を示す一方、自民はあくまでニコ動での中継番組を主張。安住淳幹事長代行が「(ニコ動は)極めて偏向したメディア」と発言したため、ニコ動が民主に抗議書を突きつける事態にもなっている。

安倍氏「ニコ動は視聴者意見も反映」

   きっかけは衆院解散後の2012年11月22日、安住氏による民放テレビでの発言だった。

   「自衛隊を国防軍と位置づける」とした自民党の政権公約にかみつき、「これは危険だし、争点にしなければならない。党首討論をやろうじゃないですか」と訴えた。野田首相も24日、「私はいつでも結構だと思います」と呼びかけ、「衆院選は総理を選ぶ選挙でもあるわけです。違いがどこにあるかを知ってもらうことは意義がある」と意欲を示した。

   これを受けて自民の安倍氏は同じ24日に、自身のフェイスブックで「29日に既に出演要請を受けているニコニコ動画の生放送で野田首相の申し入れに受けて立ちます」と回答。

   「テレビですと各局の番組調整や公平性に問題があり、公示までの調整は難しい」とした上で、「(ニコ動なら)インターネットで全国に生中継されますし、相互に視聴者の方々の意見も反映される最もフェアな場所」と提案した。

   安倍氏が記した「相互に視聴者の方々の意見も反映される」が意味するものは、配信される画面にユーザーがリアルタイムで投稿できる独自のコメント機能を指すとみられる。

   この逆提案について、野田首相は翌25日、民放テレビ番組で「テレビ中継も入れて、もっと幅広い人に見てもらったほうがいい」「29日に限定することもない」。同じ番組に出演した安倍氏はあくまでニコ動でのネット中継を主張をした。

安住氏会見で事態混乱

   討論開催がいよいよ危ぶまれ出したのは、安住幹事長代理による11月26日の記者会見からだ。安住氏は、自民党に党首公開討論会の申し入れを正式に行ったとし、「会場は都内のホテルで、すべてのメディアに公開したい」と述べた。そして、安倍氏が提案したニコ動の番組内での開催について「偏った動画サイトに(視聴者が)投稿するやり方はよき伝統の党首討論を崩す」と言ったのだ。

   ニコ動側はこの発言に反発。ニコ動を運営するドワンゴ取締役でコメンテーターの夏野剛氏は怒りのコメントをツイッターに連投した。

「『偏向サイト』とはどういうことか。民主党の議員さん、答えてください」「今回の騒動で民主党は自民党の手のウチに乗って失敗したばかりか、若者世代の支持を完全に失ったな」「国会中継、事業仕分けなどまったく政治的意図を入れない生中継で政府には随分協力してきたつもりですが」「中継はニコ動の独占ではなくフルオープンのはず」

   また、ドワンゴ社長の名で民主党の輿石幹事長に対し、「何を根拠に『極めて偏った動画サイト』と批判しているのか明確にしていただきたい」と5日以内に回答を求める抗議書を出した。

   一方、新聞報道によると、自民党は民主党からの「すべてのメディアに公開して開催したい」とする正式申し入れを受け、「インターネット番組がふさわしい」としたうえで、ニコ動の施設を指定して「29日午後8時にお待ちしています」。また「すべてのメディアにフルオープンだ。インターネット番組は誰でも参加可能で、双方向かつ世界に開かれている」と記した。

   ネットの掲示板などには安住氏の記者会見以降、ユーザーからのコメントが殺到。「安住、盛大に自爆」「民主、完全に終了」など大半が民主への批判だった。

   ちなみに2009年の総選挙直前に開かれた麻生VS鳩山の党首討論の際、当時与党だった自民は地上波テレビの生放送を主張したが、編成の都合からNHKなどでは録画放送となった。ニコ動などネットだけが生中継を行った。ニコ動は、視聴者の書き込みを画面上にアップするコメント機能付きで放送しており、安住氏の言う「よき伝統の党首討論」は3年前から崩れていた。

   またニコ動のニコニコチャンネルには「自民党チャンネル」「民主党チャンネル」が開設されている。ニコ動はプレミア会員の場合、月525円払うと全ての番組が視聴できる。ただし公共性の強いものについては常にフリーで見られるようになっている。

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