2024年 5月 1日 (水)

アベノミクス「給料上げた会社は減税」 バイトの時給も「緊急経済対策」で上がる?

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   給料を上げた会社は、法人税を減税します――。政府の緊急経済対策に、こんな「アベノミクス政策」が導入されると報じられ、ネット上で賞賛の声が相次いでいる。

   アベノミクスでは、物価が上がったとしても、それに応じて給料も上がるのかが最大の焦点になっていた。そうでないと、消費が伸びず、経済再生は成らないからだ。

竹中平蔵氏は「半年、1年では上がらない」とも

   そこに出てきたのが、今回の減税政策報道だ。

   新聞各紙によると、自民党の安倍晋三内閣が2013年1月11日に決める緊急経済対策に、この税制改正が盛り込まれる。企業が給料や雇用を増やすと、その人件費増加分の10%を法人税から差し引くというものだ。新税制は4月に創設され、2~3年の期限付き措置として導入される見込みだ。

   以前の減税政策としては、民主党の菅直人内閣が11年度から導入した雇用促進税制がある。この制度では、企業が雇用者数を10%以上増やすと、1人当たり20万円を法人税から差し引く。しかし、これだと、給料が増えることに直接つながらず、今回は、それを超えるものとして考え出されたらしい。

   この新税制が報じられると、ネット上では、「神政策」などと賞賛の声も沸き起こった。早くも、「バイトの時給も上がるんだろ?」といった期待の声も上がっていた。

   とはいえ、政府の中からも、過剰な期待を戒める向きはある。

   産業競争力会議メンバーの竹中平蔵慶応大教授は1月10日、TBS系「朝ズバッ!」に出演して、給料アップについては、「経済全体がよくなってこないとできない」と指摘した。竹中氏はこう言う。

「国民もある程度時間がかかることは覚悟しないといけないと思いますよ。半年、1年で給料が上がるほど簡単な問題じゃなくて、世界から日本がすごく今押されているわけですから、うまくいっても3年とかそのぐらい見とかないといけないでしょうね」

企業も慎重だが、条件次第で利用が進む?

   竹中平蔵氏は、消費税の引き上げが14年4月に見込まれていることから、「消費税を上げる環境を作らないといけません」と給料アップが期待される状況は必要だとした。とはいえ、引き上げまでに間に合わない可能性があるとして、「痛みを超えてでも、国民もやっていこうという、そういう認識が必要だと思う」とした。

   同じTBS系の「ひるおび!」では2013年1月10日、企業のトップにも給料アップに慎重な意見が多いと紹介した。例えば、政府の経済財政諮問会議メンバーの小林喜光三菱ケミカルホールディングス社長ですら、報道陣の質問に「いや、まあね、まだ。そのへんの仮定の問題っていうのは、なかなか難しいよね、答えるの」と困った様子だった。

   そもそも、菅内閣が導入した雇用促進税制も、利用が伸び悩んでいた。

   厚労省の雇用政策課によると、2011年度は、17万人の雇用を生み出す目標を立てていたが、実際は、半分の9万人ほどに留まる見通しだ。その理由としては、雇用者数10%増という条件が厳しすぎると指摘されている。大企業にはハードルが高すぎ、中小でも、法人税を支払える黒字企業でないと難しかった。そのような企業については、制度を利用しなくても雇用を増やしていた可能性を雇用政策課でも認めている。

   もっとも、安倍内閣では、こうした条件が取っ払われ、利用が進む可能性はある。

   ところが、驚いたことに、今回の減税政策は、経産省が担当するというのだ。厚労省雇用政策課では、「われわれも驚いています」と言う。ちなみに、厚労省の制度も、期限付き措置のため、予定では13年度で終わることになっている。

   担当変えは、雇用政策ではなく産業政策になるからなのか。その整合性について、経産省の企業行動課に取材すると、「中身は全然きまっていませんので、答えようがないです」とのことだった。

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