2024年 4月 18日 (木)

JAL第三者増資に「かなり意味深な名前」 麻生氏が挙げたのは京セラなのか

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   「民主党政権の唯一の成果」とも言われた日本航空(JAL)の再建をめぐり、政権復帰を果たした自民党が攻勢を強めている。特に、公的支援を経た再上場を「競争環境をゆがめる」などと野党時代から問題視している西田昌司参院議員は、2013年2月18日の参院予算委員会で、上場前に行われた第三者割当増資を「第2のリクルート事件」と批判を展開した。

   麻生太郎副総理兼財務・金融担当相も「(引き受け先に)出ている名前も、かなり意味深な名前がある」と同調し、JALの稲盛和夫名誉会長が創業した京セラが引き受け先に含まれていることを暗に批判した。

西田議員「再上場を当て込んだとしか考えられないんですよ!」

JAL再建をめぐり自民党が批判を強めている(写真はイメージ)
JAL再建をめぐり自民党が批判を強めている(写真はイメージ)

   西田氏が問題にしたのは、11年3月15日にJALが取引先など8社に対して行った127億円の第三者割当増資。当時の1株あたりの金額は、10年12月に企業再生支援機構が出資した金額と同じ2000円で、12年9月の上場時の売り出し価格は3750円だった。単純に計算すれば、これら8社は出資額の2倍近い金額を手にすることになる。この増資の目的は「イベントリスクに対する態勢強化」だと説明されているが、西田氏は、

「要するに3500億円を政府が入れました、(企業再生支援)機構が。その(10年12月の)時点で債務超過は解消している。その後の(12年3月期の)決算では1800億円の利益を出している。まさにお金がいらない時に、イベントリスクがあるかもしれないからと言って、たったの127億円ですよ、なんのこれが『屁のつっぱり』になるかって話ですよ!言えばね。まさにこれは、再上場を当て込んだとしか考えられないんですよ!」

と、この増資がインサイダー取引にあたる可能性があると主張した。西田氏が「おかしいと思いませんか?」と煽ったのに対して、麻生氏は

「法律的には、間違いなく上場前ですから、インサイダーにはなりませんなあ。しかし、ただ…。おかしい」

と同調し、議場からは笑いも起こった。さらに、麻生氏は手元の書類に目を落としながら、

「と、みんな思わない人はいないと思いますよ?テレビ見ておられる方も、出ている名前も…、これは…、うん。なかなか、意味深ですなぁ。出ている名前も、かなり意味深な名前があると思いますよ。ここには」

と述べ、増資を引き受けた企業とJALとの関係について関心を示した。

京セラと大和証券グループが50億円ずつ出資

稲盛氏は12年8月の会見で批判に反論している
稲盛氏は12年8月の会見で批判に反論している

   JALが公表している有価証券報告書によると、増資を引き受けた会社と引受額の内訳は、京セラと大和証券グループが50億円、東京海上日動火災保険が15億円、損保ジャパンが5億円、JTBが3億円、阪急交通社が2億円、あいおいニッセイ同和損保と三井住友海上火災保険が1億円。

   JALの稲盛名誉会長は京セラの創業者としても知られ、大和証券グループは上場時の主幹事だ。麻生氏の「意味深」が指しているのは、この2社だとみられる。

   この増資をめぐる批判はたびたび繰り返されており、例えば週刊文春の12年8月9日号では、「濡れ手に粟で未公開株50億円ゲット!JALを私物化する稲盛和夫会長の『強欲』 」と題した特集が5ページにわたって掲載されている。

稲盛氏は「今は給料も何ももらっていない、名前だけの名誉会長」と反論

   この点については、稲盛氏自身が12年8月2日の会見で、

「京セラと言えば私というようになっているが、実際は今は給料も何ももらっていない、名前だけの名誉会長。京セラが50億の増資に応じたというのは、現在の経営陣が決断したこと」

と反論している。また、増資そのものについて、500億円を目標に数十社に対して打診したにもかかわらず8社しか応じなかったという経緯がある上、震災直後で需要の落ち込みが確実視されていたことを理由に、

「京セラだけでなく、8社は大同小異不安をいただきながら、『(震災前に)約束をしたんだからしょうがない』と出資をしていただいたものだと思っている。決して『儲かるからなんとか』ということでもって出資した会社は、おそらく1社もない」

と、批判は妥当ではないとの見方を示している。

   それ以外にも、西田氏はJAL株の約38%を外国人が保有し、配当が行われることについても問題視。麻生氏も、

「ちょっと、公平性を欠くのではないか。何となく、ちょっと腑に落ちにくいというのが率直な実感」

と応じた。西田氏は、

「まさに民主党政権の一番良かった成果、唯一といっていいけれども、彼らが自慢していたんですけどね。今更彼らの頭を叩くつもりはないけれども、かなり問題があると思うんです!」

と質疑を総括し、民主党批判を強めていた。

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