2024年 4月 26日 (金)

ハローワークの非正規職員「雇い止め」 予算削減で2200人が「職探し」に追い込まれる

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   全国のハローワーク(公共職業安定所)で相談員などとして働く非正規職員のうち、約1割にあたる2200人が、2013年3月末で解雇(雇い止め)される。

   厚生労働省によると、ハローワークは全国に545か所。2012年度の職員数は3万1765人で、このうち非正規職員は2万176人と全体の63.5%を占めている。すでに雇い止めを告げられた職員らは、仕事で失業者の相談に応じながら、自らも勤務時間外や休暇時間に「職探し」に勤しんでいる。

雇用は原則1年のきまり

   ハローワークの非正規職員は、2008年度は1万221人だったが、リーマン・ショック後の2009年度には景気の悪化などにより、一気に1万7870人にまで増やした。2011年の東日本大震災後も増員した。

   それを2013年度は、2万176人から約2200人を削減して1万8000人程度に絞り込む計画。13年1月半ばに予算の削減が決まり、厚労省はそれ以降、「(雇い止めの)対象者には任期を更新しない旨を説明してきました」としている。

   ハローワークの非正規職員は、各ハローワークで公募して選考。採用が決まれば、原則1年の契約期間で相談員などとして働く。「毎年、予算がつかないと公募できませんし、予算がつけば、雇用延長(再雇用)できます」と話す。

   今回の雇い止めについて、厚労省は「現在の非正規職員は、リーマン・ショック後の景気悪化と、11年の東日本大震災後の対応のために増員したもの。それらの業務が落ち着いてきたこともあり、(予算の)削減が決まりました」と説明する。

   雇い止めになる人、雇用を延長する人を決めるのは、各々のハローワーク(労働局)に任せている。

   厚労省は「相談員といっても職業紹介や雇用保険の給付、職業訓練の案内などの、さまざまな役割がありますから、たとえば部署ごとなくなったり、縮小したりするケースではその部署の人が(雇い止めの)対象となります」という。

   雇い止めについては今のところ、「不満がある人はいるでしょうが、丁寧に説明していますし、大きな混乱もありません」と話す。2013年度の減員分は、各ハローワークが業務の効率化、簡素化などで対応する。

お役所には非正規職員雇用を保護する規定がない

   しかし、アベノミクス効果で景気回復に明るさがみえてきたとはいえ、ハローワークに足を運ぶ失業者はなお少なくない。

   毎日の仕事が忙しいこともあって、契約期間が1年であることをわかっていても、「まだ(ハローワークで)働き続けることができると思っていた」人も少なからずいたようだ。

   人手不足から4月以降に窓口が混乱したり、手続きが遅れたりしないか、懸念する声もないわけではない。

   一方、民間企業の非正規労働者の雇い止めは、労働契約法やパート労働法で規制され、一定の歯止めがかかっている。ところが、公的な職場の非正規職員の場合は国家公務員法などに基づくため、1年ごとで「任用」する非正規職員の雇用を保護する規定がないこともわかった。

   厚労省は、「たしかに民間企業ではありませんから、労働契約法やパート労働法などの適用外です。しかし、人事院の規則に則って運営しており、問題はありません」と説明する。

   新たに採用する場合も、ハローワークに求人募集して、改めて選考し直すとしている。

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