2024年 4月 19日 (金)

アイフォーン、LTE使えても「最大速度」は出ない KDDIだけでなくソフトバンクも「75Mbps」少ない?

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   KDDIが高速通信「LTE」サービスの過大表示で、厳しく批判された。同社が販売する「アイフォーン(iPhone)5」の通信速度に関して、「受信時最大75Mbps(メガビット毎秒)」のエリアは「2012年度末に実人口カバー率約96%に拡大」とうたいながら、事実と反していたのだから無理もない。

   同じくiPhone5を販売するソフトバンクモバイル(SBM)は、最大75Mbpsの対応地域の割合を公表していない。ただ計算方法によっては、KDDIよりも低い数値になるようだ。

  「最大速度」で利用できる地域はごく限られる
「最大速度」で利用できる地域はごく限られる

   KDDIが消費者庁から指摘されたのは、iPhone5を使用した際に最大75Mbpsの通信速度が得られるサービスの提供エリアが、2013年3月末に「実人口カバー率の96%」に拡大したという表現だ。素直に読めば、日本のほぼ全域でiPhone5を使った際に高速通信、それも最大のパフォーマンスが得られると受け止められるだろう。ところが実際には、75Mbps利用可能エリアは14%にとどまり、96%に拡大する計画もなかったとKDDIは説明した。LTE対応であっても75Mbpsより遅い通信スピードの地域が大半だったわけだ。

   ではSBMはどうなっているだろう。2013年4月25日、SBMは「iPhone 5でご利用頂けるSoftBank 4G LTEのエリアが、計画通り3月末に『実人口カバー率91%』を達成致しました」と発表した。ただし、このうち75Mbps利用可能エリアのみを抜き出して、どれだけの割合になるかという数字は公表していない。この点はKDDIのように消費者の誤解を生む恐れはないだろう。

   SBMのウェブサイトには、「下り最大75Mbpsが使用できるエリア」が示されている。宮城県仙台市青葉区や太白区の一部、埼玉県羽生市の一部などが列挙されている。東京都全域と名古屋市、大阪市内は圏外だ。SBM広報に聞くと、現時点で対応する端末はiPhone5と「iPad」の一部機種、「iPadミニ」となる。

   非公表の「75Mbpsカバー率」だが、IT系ニュースサイト「BUZZAP!」が5月23日付の記事で興味深い数字をはじき出した。SBMが公表している「下り最大75Mbpsが使用できるエリア」の各自治体の人口を計算したところ、合計約157万人。これを、総務省統計局が発表している2011年度の日本の総人口1億2779万9000人と比較すると、「人口カバー率」は1.23%になったというのだ。

「つながりやすさ」の統一基準に総務省「メッシュ方式」導入か

   記事では、SBMが用いる「実人口カバー率」とは算出方法が違うため単純比較はできないとことわりつつ、「75Mbpsエリアは決して広くない」と結論づけている。サイト上で「下り最大75Mbps」を目立つように表示し、「3Gハイスピードの約10倍」とつながりやすさをアピールしながら、現状ではほとんどの地域で「非対応」なのは少々寂しい。

   「実人口カバー率」という独自の算出方法も曲者だ。SBM広報に取材したところ、同社では全国を500メートル四方の「メッシュ」と呼ばれる区画に細分化し、各メッシュに含まれる人口を合算したものと日本の総人口の割合から算出すると説明した。また「少しでも(メッシュ内に)かすっていれば(カバー地域に)含める、ということはしていません」と「水増し」を否定したが、どれだけの人数に達したらカバー地域とみなすかなど、詳しい「手のうち」は明かさなかった。

   NTTドコモやKDDIも、それぞれの「人口カバー率」を使って「これだけのエリアで利用可能になった」と、自社がいかにつながりやすいかを強く訴える。一方で「利用者には分かりづらい」との批判はかねてから出ていた。

   2012年11月1日付「日経ビジネス」電子版では、携帯電話3社がそれぞれ基準の異なる人口カバー率を使って競い合っているのは「ユーザーからみれば不親切極まりない話」と突き放していた。そのうえで「業界の意地とか見栄で基準が変わる尺度に消費者は最初から疑念的だ」とし、「宣伝にもならない『人口カバー率』などやめてしまっては?」と皮肉っぽく締めている。

   各社バラバラの「つながりやすさ」の基準について、共通化するためのガイドラインを総務省が策定すると、5月28日にフジテレビのニュースが報じた。日本経済新聞も同日付の朝刊で通信業界での「統一基準」が設けられるとし、さらに29日付の電子版では、人口カバー率の算出方式にSBMやKDDIが導入している「メッシュ方式」を採用すると伝えた。現在、2社の方式は違いがあるが、総務省の場合は、500メートル四方のメッシュ内で電波が届くエリアが50%を超えたら、その全域を「圏内」と判定、逆に50%以下なら「圏外」、つまり携帯電話利用不可能地域とみなすようにすると、具体的に踏み込んで書いている。

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