公取委は「見直しは考えていない」
これに対し公取委は「(小売店の)再販売価格の拘束は独禁法でも禁じられており、見直しは考えていない」と反論し、極めて慎重だ。
経産省が見直しを目指すのは、日本の流通実態が変わってきたとの問題意識がある。「ネット販売や量販店が台頭する現代に合わせた規制にすべきだ」(経産省)ということだ。実際、「優越的地位の濫用」というように、量販店など力を付けた小売業者が、むしろ川上のメーカーより優位になり、特売への協力を強制するなどの事案も続発し、公取委も「優越的地位の濫用に関するガイドライン」を設けるなど、力関係は様変わりしている。
この問題をめぐっては、一般紙はまだほとんど報じていないので、日経新聞の「独壇場」といった趣だが、「見直し」の方向にもっていきたいと思わせるような報道が目立つ。6月19日夕刊の1面トップに「メーカーの価格指定容認 経産省・公取委 安値競争緩和めざす」の見出しが躍り、「経済産業省と公正取引委員会は、メーカーが小売店に販売価格を指定することを容認する検討に入った」とし、翌20日朝刊では「経産省は19日、独禁法の運用指針の改正を求める有識者会議の提言をまとめた。これを受けて公取は1991年施行の指針を見直す方向だ」と、すぐにでも見直しが実現するかのような記事になっていた。