高橋洋一の自民党ウォッチ
出世競争から脱落しても「高給窓際」 「左遷不満訴訟」は役人の甘ったれ

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カットされたといっても年収800~1000万円程度

   そこで、やはりというか、抜本的な法改正なしのツケが出てきた。その一例が、9月25日付(2013年)の朝日新聞で報じられていた、農水省のキャリア官僚が専門スタッフへの異動を不服として起こしたという訴訟だ。

   冒頭述べたように、退職させられるわけではないので、甘えた話だ。給料のカットといっても2割程度で、民間から比べればたいしたことない。そもそも、キャリア官僚の給料は民間が低下してきたので相対的に高いので、カットされたといっても年収800~1000万円程度。専門スタッフを作るときには、高給窓際官僚を大量生産すると揶揄されたものだから、そんなに大騒ぎすることもないだろう。

   ただし、その程度の人事であっても、これまでの前例もなく、国家公務員法に基づく諸規則でそうした人事を可能にするような規程も不備なのは事実だ。だから、このキャリア官僚は勝てると踏んで訴訟を起こしたのだろう。

   こうした訴訟を通じて、官僚の雇用実態が明らかになるのはいいことだ。そして、官民で不公平のないような裁判結果になることを期待したい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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