2024年 4月 19日 (金)

宮崎駿「永遠の0」を嘘八百と批判!? 百田尚樹も「おこ」で零戦戦争勃発か

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   「風立ちぬ」大ヒット中の宮崎駿監督が、零戦パイロットを主人公にした人気作「永遠の0」を猛批判した――そんなニュースが飛び込んできた。

「今、零戦の映画企画があるらしいですけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の物語を作ろうとしているんです。神話の捏造をまだ続けようとしている。『零戦で誇りを持とう』とかね。それには僕は頭にきてたんです。子どものころからずーっと!」
「相変わらずバカがいっぱい出てきて、零戦がどうのこうのって幻影を撒き散らしたりね。戦艦大和もそうです。負けた戦争なのに」

「戦争肯定」百田氏と一緒にされたくない…ホント?

「永遠の0」との間にドッグファイト勃発?の「風立ちぬ」 (C)2013 二馬力・GNDHDDTK
「永遠の0」との間にドッグファイト勃発?の「風立ちぬ」 (C)2013 二馬力・GNDHDDTK

   2013年8月19日発売された映画雑誌「CUT」(ロッキング・オン)9月号掲載のインタビューで、宮崎監督は3万字にわたって「風立ちぬ」について語っている。その中から、上記の部分を9月25日、ネットメディア「ビジネスジャーナル」が引用、宮崎監督が名前を挙げていない「零戦の映画」が「永遠の0」だと断定し、「宮崎監督が『永遠の0』酷評」と報じた。

   「永遠の0」は百田尚樹さんによる、特攻で戦死した零戦パイロットの生涯を描いた小説だ。文庫本は歴代1位となる累計250万部超のベストセラーとなっており、12月には映画版も公開される。ちなみに配給はともに東宝で、劇場によっては「風立ちぬ」上映前に「永遠の0」予告編が流れている。

   そんな話題作を、宮崎監督はなぜ「酷評」したのか。ビジネスジャーナルは、原作者の百田さんが宮崎監督とは正反対の思想の持ち主だからだとして、こう推測する。

「宮崎があえてインタビューで『永遠の0』批判を繰り出したのは、戦争を肯定する百田と一緒にされるのが耐えられなかったのかもしれない」

   確かに百田さんは安倍晋三首相と対談するなどしばしば保守的な政治見解を披歴しており、護憲、反戦を強く打ち出す宮崎監督とは主張がかなり違う。また、「右翼エンタメ」と論評した朝日新聞を始め、「永遠の0」を「戦争賛美」だと批判する声も存在する。

   「戦争賛美」の百田さんVS「反戦」宮崎監督、なるほどわかりやすい構図ではある。

百田尚樹「『永遠の0』は可哀相な作品だ」

   ビジネスジャーナルの記事は大きな話題になり、百田さんの耳にも届いた。百田さんはツイッターで、

「悪意に満ちた記事」

とつぶやくなど不快感を露わにし、ぼやきつつもがっくりうなだれる。

「『永遠の0』はつくづく可哀想な作品と思う。文学好きからはラノベとバカにされ、軍事オタクからはパクリと言われ、右翼からは軍の上層部批判を怒られ、左翼からは戦争賛美と非難され、宮崎駿監督からは捏造となじられ、自虐思想の人たちからは、作者がネトウヨ認定される。まさに全方向から集中砲火」
「宮崎駿監督が『永遠の0』を批判したという記事がネットに載って、Twitterの中のアンチ百田たちがおおはしゃぎ。リツィートの嵐。そこまで嬉しいか(^-^;」

   百田さんは、「風立ちぬ」に対して週刊文春で「ものすごくきれいな映画」「零戦ファンの私は泣きました」と絶賛している。それもあって今回の批判はショックだったようだ。

宮崎駿「『風立ちぬ』は幸運な作品だ」

   ところで、元の宮崎監督インタビューを読めば、「戦争賛美」を理由に酷評、というのは少し解釈に無理がある。

   そもそも問題の発言は、戦後に刊行された元パイロットによる証言への懐疑を語る部分で出ている。当事者の回想にはどうしても誤りが含まれており、正確な「航空戦史」を作るには客観的な調査が必要だが、不十分なまま主観に基づく「零戦神話」がひとり歩きしている――という、「軍事オタク」宮崎監督らしい見解だ。

   「永遠の0」に言及しているように見える部分は、同作を直接批判しているというよりは、同作に代表される「零戦神話」の再生産へのいらだちというニュアンスが強い。「永遠の0」というタイトルも出してなければ、内容にも踏み込んでおらず、あくまで一般論としての触れ方だ。他の箇所では零戦のフォルムについてインタビュアーを置いてけぼりにして喋り倒す場面もあり、「オタクゆえの愚痴」という印象を受ける。

   なお偶然と見られるが、百田さんが自作を「可哀相な作品」と評したのに対し、宮崎監督は「風立ちぬ」を「幸運な映画」と述べている。また「風立ちぬ」では宮崎監督が試写を見ながら涙を流したことが話題になったが、百田さんも映画版「永遠の0」の試写会で何度も泣いたそうだ。

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