2024年 4月 25日 (木)

米倉現会長の「独断専行」に不協和音 東レ会長がトップになる経団連新人事

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   2014年6月に榊原定征東レ会長がトップに就任する経団連。2月10日には任期満了となる副会長4人の後任が発表され、新たな布陣が固まった。ところが、この人選について財界関係者の不協和音が高まっているという。

   米倉弘昌現会長が会員企業はおろか次期会長の榊原氏にも相談せず独断で決め、「経団連の私物化ではないか」との不満が再び表面化しているというのだ。

中村芳夫副会長兼事務総長の処遇に注目

「今回の人事で歴代の経団連会長OBらは6月まで任期がある米倉会長の組織運営に完全にさじを投げた格好です」

   全国紙財界担当記者がこう解説する。

   今回の人事で注目されていたのは新任副会長の顔ぶれ以上に、6月に任期が切れる中村芳夫副会長兼事務総長(71)の処遇だった。「中村氏は唯一の事務局出身で、安倍政権とのパイプがない米倉会長の裏方となって首相官邸や霞が関との関係を取り持ってきた。副会長を退いた後も事務総長に留任させるべきだというのが御手洗冨士夫前会長ら歴代会長OBの意向だったのです」。中村氏の事務総長留任は2年前に経団連副会長を離れ事務局運営に不安がある榊原次期会長の意向でもあり、榊原氏は1月に米倉氏と電話で引き継ぎをした際に進言したが、聞き入れられなかったという。

   ちなみに、6月の定時総会で就任する新任副会長は、日立製作所の中西宏明社長(67)、NTTの鵜浦博夫社長(65)、JXホールディングスの木村康会長(65)、野村証券の古賀信行会長(63)の4人。

住友化学の一部取り巻きだけで決めたこと?

   中西氏と鵜浦氏は退任する川村隆日立会長と三浦惺NTT会長の後任。他にコマツの坂根正弘相談役と中村氏が退き、その2人の枠に新たに古賀氏と木村氏が選ばれた。顔ぶれ自体は順当との見方が多いのだが、問題は「これまで事務総長が素案をつくり、その通りに決まってきた」(経団連副会長)、副会長人事に事務局をまったく関与させず、米倉氏が会長を務める住友化学の一部取り巻きだけで決めたことだと、財界経験の長い企業のトップは話す。

   経団連関係者は「そもそも1月に内定した次期会長人事についても、米倉会長は過去の慣例に従わず、御手洗氏や今井敬新日鉄住金名誉会長や奥田碩トヨタ自動車相談役らにいっさい相談しなかった。当初、次期会長に有力視された日立の川村氏も、歴代会長OBから頭を下げられれば断り切れなかったはず」と話す。

「議事運営で独断専行が目立つ」との指摘

   過去の慣例を無視する米倉氏については、以前から「会長・副会長会議などの議事運営で独断専行が目立つ」との指摘があった。一連の人事もその延長線といえるが、経済界には「自ら財界に影響力を残そうとの画策にしかみえない」という声も上がっている。

   退任する中村氏はかつて「めざしの土光さん」と親しまれた土光敏夫会長の政策秘書などを務めた。会員企業などからは「有無を言わせず寄付を強要する」との声が出聞こえるなど毀誉褒貶相半ばするが、経団連の現職幹部からは「10年に一人の大物総長」と呼ばれていたのも事実。後任事務総長と目されている久保田政一専務理事(60)は政策通として知られるが、押し出しが弱く、くせのある政界などとのパイプ役を果たせるかは未知数だ。

   「地盤沈下」の声がやまない米倉経団連だが、会長が独断専行しようと、用意周到に根回ししようと、一般国民にはほとんど関係はない。だが、内紛ばかりが目立つようでは「財界不要論」を払拭するのはままならないだろう。

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