川崎病にかかった子どもたちへの水ぼうそうやおたふくかぜワクチンの予防接種はほとんど効果がないことがわかった。東京都立小児総合医療センターグループが2014年6月7日、東京で開かれた特定非営利法人日本川崎病研究センター(川崎富作理事長)の研究事業報告会で発表した。特定の病気治療で使われる薬との組み合わせで、他の小児病でも起こりうると考えられる。日米で接種時期に差川崎病は川崎博士が初めて報告した日本人に多い乳幼児の病気。かつては心筋梗塞で亡くなる子どもが少なくなかったが、早期の免疫グロブリン大量療法が功を奏して、現在では死亡はめったになくなっている。乳幼児期は細菌やウイルスによる感染症が多い。このため、いくつもの予防接種が行われるが、川崎病児の場合、日本では免疫グロブリン療法が終わってから6か月以降に打つように指導され、予防接種ガイドラインにも書かれている。一方、米国では11か月空けるよう勧められていることから、都立小児総合医療センターの森川和彦医師らはどちらがよいかとの疑問を持ち、2013年度の川崎病研究センター公募研究に応募した。日本の基準は麻しんワクチンのテストから決められたが、森川さんらは免疫グロブリン療法後6か月の子ども21人に、麻しんのほか、風しん、水ぼうそう、おたふくかぜのワクチンを接種し、3か月後に16人の抗体価を測定した。その結果、16人中麻しんは14人(87.5%)、風しんは12人(75.0%)が免疫を獲得していたが、水ぼうそうはたった3人(18.8%)、おたふくかぜは1人(6.3%)だけだった。森川さんらは免疫グロブリン療法の影響の可能性が大きいとみており、続いて米国式の11か月後の接種ではどうかを調べたいとしている。参加していた小児科医はこの報告に一様に驚いていたが、司会の東京逓信病院小児科の前部長、鈴木淳子医師は「免疫抑制剤を使っている子どもなどにもあてはまる可能性がある」と話していた。この会では自治医大の中村好一教授(公衆衛生学)が全国調査にもとづく川崎病の新規患者数を報告した。それによると、2011年、12年で26691人。とくに13年は13917人で、0から4歳児人口に占める罹患率(10万人中254人)は史上最高を記録した。(医療ジャーナリスト・田辺功)
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