2024年 4月 16日 (火)

「花子とアン」で注目集める「白蓮駆け落ち事件」の真相 スキャンダル大スクープは朝日への「リーク」だった

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   NHK連続テレビ小説「花子とアン」で大きな反響を呼んだ、主人公の「腹心の友」である「葉山蓮子」と帝大生「宮本龍一」の駆け落ち劇。ファンの間ではモデルとなった「白蓮事件」への関心も高まっている。

   白蓮事件は1921年(大正10年)、九州の炭坑王・伊藤伝右衛門と結婚した柳原伯爵家令嬢で歌人の柳原燁子(筆名・白蓮)が社会活動家の宮崎龍介と駆け落ちした事件だ。新聞のスクープによって一大スキャンダルに発展し、ドラマでも当時の過熱ぶりが再現されている。だが、史実と異なる点も少なくないようだ。

絶縁状の発表は宮崎らが計画したものだった

高視聴率が続く「花子とアン」(画像は公式サイトのスクリーンショット)
高視聴率が続く「花子とアン」(画像は公式サイトのスクリーンショット)

   仲間由紀恵さん演じる「蓮子」は政略結婚によって25歳離れた福岡の石炭王「嘉納伝助」(吉田鋼太郎さん)の妻となるが、愛のない結婚生活に苦しんでいた。

   そうした中、芝居の脚本依頼を受けたことを機に「宮本龍一」(中島歩さん)と懇意になり、2人は駆け落ちを決意。蓮子は主人公の「村岡花子」(吉高由里子さん)に会いに行くとの名目で上京、行方をくらまして龍一の元へ走った。

   ここまでの経緯はおおよそ史実どおりだ。大きな違いはその後――蓮子がしたためた伝助への絶縁状が新聞に載るまでの経緯にある。

   ドラマでは、龍一が学生仲間に絶縁状の投函を依頼するが、仲間らの独断により新聞に掲載されてしまった。それを知った2人は驚き、龍一は「俺はお前を信用して手紙を託したんだ!新聞に載せるために渡したんじゃない!」と掴みかかる。すると仲間らは「革命」の大義名分を持ち出し、世間に衝撃を与える方法として新聞社への持ち込みを選んだと主張した。

   龍一が「なんてことしてくれたんだ…」と沈む姿は印象的だったが、実際の事件では、燁子も龍介も同意の上だったようだ。「文藝春秋」8月号(7月10日発売)に再録された宮崎龍介の告白手記には、次のように書かれている。

「大正十年十月、燁子は九州から最後の上京をしてきました。(略)実はこれを最後に燁子は伊藤家から姿を消す、という打合せがしてありました。私は燁子との問題は家族の者にも一切話さず、友人の赤松君と朝日新聞にいた早坂二郎君にだけ打ちあけて、いろいろ相談しました。彼らは私が燁子と結婚することには大賛成でした。そして同じやるなら、一つ世間に衝撃を与えるようなやり方をした方がいいだろうということに、三人の意見が一致しました。それには多くの新聞社に共同発表するよりは、一社の特ダネの形で世間に発表する方が効果がある、という早坂君の意見で、発表は朝日新聞社一社にしぼることにきめました」
「十月二十二日の朝日新聞朝刊の社会面は、全ページを燁子と私のいわゆる『白蓮事件』で埋め、予想通り大センセーションをまきおこしました。燁子の伊藤家に向けた絶縁状も全文のっていました。(絶縁状略)この絶縁状は燁子と赤松君と私の相談の上書いたものです」

   龍介と赤松克麿はともに東京帝国大学の学生運動団体「新人会」の結成メンバー。龍介の弁によれば、一大スキャンダルは自由と人権を訴えるために計画されたものだったということらしい。

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