今の若者はかつての海外の大物ミュージシャンを知らないらしい。先ごろ、世界的ロックバンド「U2」って誰という話が出たが、今度はStevieWonder(スティービー・ワンダー)さんを巡りちょっとした騒動になっている。キリンビバレッジが缶コーヒー「FIRE」の新CMを放送したところ、使われている曲が日本の人気ロックバンド「ONEOKROCK」(ワンオクロック)のパクリではないのか、などと言い出す人が現れたからだ。しかも「知らない外人が歌っている」というのだ。「いま、CMであれ、なんか聞いたことあるなと思った」若者は知らない大御所(画像はユニバーサルミュージックジャパンのホームページより)「U2」に関しては、米アップル社が2014年9月に音楽配信サービス「iTunes」を通じて最新アルバムを「iPhone」ユーザーなどに無料配布したところ、「U2って誰だよ」「知らないやつを勝手に人の携帯に入れるな!」などと騒ぎになった。今回はキリンが「FIRE」リニューアルに合わせ14年10月上旬から流した新CMが舞台になってしまった。歌声は紛れもなくあの大スターのワンダーさんなのだが、ツイッターなどでこんな書き込みが出た。「いま、CMであれ、なんか聞いたことあるなと思ったら、ワンオク(ONEOKROCK)のToFeelTheFireやった」「まじでワンオクのToFeelTheFireがコーヒーのCMで使われている」「なぜ知らない外人が歌っているの?」「スティービー・ワンダーはワンオクのパクリらしい」などという「珍説」も出た。ワンオクは07年にメジャーデビューした今や若者に絶大な人気を誇るバンドで、海外でも注目され、代表曲「TheBeginning」はユーチューブでの視聴数が2700万回を超えた。確かにワンオクは11年2月発売のシングル「アンサイズニア」にこの「ToFeelTheFire」をタイトル曲以外のカップリング曲としていて、MV(ミュージックビデオ)も存在する。若いファンにとって「ToFeelTheFire」といえばワンオクとなるようなのだが、これはキリンビバレッジが「FIRE」のCM用にワンダーさんに制作を依頼した曲で、99年にCD発売もして大ヒットとなった。カバーをしたのはワンオクなのだ。歌声は当時のままでアレンジを現代風にしているひょんなことで注目を集めることになってしまったワンダーさんの「ToFeelTheFire」だが、どうして99年に発表されたこの曲が14年10月からの新CMで再び使われることになったのか。キリンビバレッジのマーケティング部に話を聞いてみたところ、「ToFeelTheFire」は今から15年前に「FIRE」のCM用としてワンダーさんに直接依頼をして出来上がったもの。それから数年間「FIRE」のイメージソングとして使っていた。10年以上ぶりに再登場させた理由は「FIRE」の原点に戻り飛躍を目指そうということらしい。入れたてのドリップコーヒーの品質、味にこだわってきたが、今回のリニューアルでは画期的な新製法を採用、さらに先を目指そうという気持ちも込めている。ワンダーさんの歌声は当時のままだが、アレンジを現代風にした2014年バージョンを流しているという。
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