2024年 4月 26日 (金)

「よくやった!!」「いや、制裁者気取りだ」 「週刊新潮」18歳少年実名掲載に賛否両論

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   川崎中1殺害事件の主犯格とされた少年(18)について、「週刊新潮」が実名と顔写真を掲載したことが論議になっている。週刊新潮では、事件の残虐性などを考えたと説明しているが、賛否は割れている。

   タバコを指に挟み、不敵な笑みを浮かべてポーズを取る少年...。週刊新潮の2015年3月5日発売号の特集記事には、タイトルの横にこんな写真が掲げられた。写真は2枚あったが、うち1枚は、ネットではすでにお馴染みのものだ。

記事で「少年法を乗り越えなくてはならない」

実名報道に波紋広がる
実名報道に波紋広がる

   事件を報じた記事は、6ページにもわたっており、少年の実名から、家族構成、過去の非行や暴力事件などが詳細に書かれている。そのうえで、実名などを報じたことを説明するため、「『少年法』と『実名・写真』報道に関する考察」の別タイトルで、3ページにもわたって特集をした。

   そこでは、少年法の第61条では、罰則規定はないものの、新聞などが少年の実名などを報じることを禁じていると認めたうえで、今回は残虐な事件であり、法で守られることは理不尽だと主張を展開している。

   それでも、両論があることは併記し、実名報道は少年が社会復帰する障害になるという人権派弁護士の主張と、空腹に飢えて万引きするような少年を想定した戦後の遺物とする元最高検検事のコメントを紹介した。しかし、ネット上では、早くから実名などが晒されていたとし、報道では禁じられるというのは違和感があるという識者の声を載せた。

   さらに、社会の関心事であれば、少年の実名報道はプライバシー侵害ではないとした判例があるとし、政権与党からは、投票年齢の18歳引き下げに合わせて少年法改正も検討する動きが出てきたともした。新聞などの大手マスコミは、匿名報道の殻に閉じこもっていると批判し、「少年法を乗り越えなくてはならない時もあるはずだ」と書いている。

   一方、ライバル誌とされる「週刊文春」は、10ページにもわたって事件を特集したが、18歳少年を匿名で報じ、顔写真でも目の部分を隠していた。

週刊文春も「時代遅れの少年法を改正せよ」

   とはいえ、週刊文春では、「18歳主犯Aは懲役5年? 時代遅れの少年法を改正せよ」とタイトルを打った記事も載せた。

   そこでは、ネット上では実名などが氾濫しているとして、少年法はネットの規制には触れておらず、時代に即した法改正をすべきだとの識者コメントを紹介した。さらに、先進国でも少年を20歳で区分しているのは日本ぐらいで、18歳に引き下げるのは妥当だとの専門家の見方も伝えている。

   週刊新潮の実名掲載は、一般紙などでも報じられ、識者からも様々な意見が出ている。

   元フジテレビアナウンサーの長谷川豊さんは、ブログで、憲法では国民の知る権利を認めており、この権利を重くみて、残虐な少年犯罪が起きれば実名や顔写真が報じられるべきだと述べた。犯罪行為をした人の再犯率は高く、少年の素性が明らかではないと不安に思う人々がいるはずだとも言っている。

   一方、日弁連の村越進会長は、実名報道を受けて声明を出し、「凶悪重大な少年事件の背景にも、少年の成育歴や環境など複雑な要因が存在しており、少年のみの責任に帰する厳罰主義は妥当ではない」と批判した。新潮が挙げた判例については、民事上の賠償責任までは認めなかったものの、少年法61条の趣旨を尊重した抑制的な対応を報道機関に求めていると指摘している。

   ネット上でも、新潮報道については、賛否両論だ。

   「『週刊新潮』よくやった!!」「それだけのことをしたんだからもう仕方ない」「再発予防と抑止力につながる」といった賛成の声も多いが、「ただの集団リンチじゃないのか?」「刑が確定するまで、犯罪者ではない」「世論を代表する制裁者を気取っているのか」といった疑問もくすぶっている。

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