2024年 4月 26日 (金)

「医師がわいせつ」は麻酔後の「せん妄」 病院が逮捕の警視庁に抗議の異例事態

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   わいせつな行為をしたとして非常勤の男性外科医(40)を逮捕した警視庁に対し、病院側が不当逮捕だとホームページ上に異例の抗議文を載せた。30代女性患者の訴えだけを根拠にしていると批判しているが、警視庁は、J-CASTニュースの取材に対し、捜査中だとして回答を控えている。

   「警視庁による当院非常勤医師逮捕の不当性について抗議する」。東京都足立区の柳原病院が2016年8月25日付で出したこんなタイトルの声明は、医療機関としては異例ともいえる断固たるものだ。

  • 病院がホームページ上で異例の声明
    病院がホームページ上で異例の声明
  • 病院がホームページ上で異例の声明

逮捕された医師「やっていません」

   報道などによると、女性患者は5月10日昼過ぎに柳原病院で男性外科医による右乳腺腫瘍の摘出手術を受けた。しかし、手術後に全身麻酔で体の動かない女性に対し、外科医は診察を装って病室で着衣を脱がせ、左胸をなめるなどした疑いが持たれている。

   女性の胸を見ながら自慰行為をしたり、再び病室に来てわいせつな行為をしたりしたと一部で報じられている。女性の体から外科医の唾液が検出されたともいう。女性は、外科医が6年ほど前から別のクリニックで担当医をしており、手術のため柳原病院に入院していた。

   女性が相談した会社の上司が110番通報し、その後、女性が被害届を出していた。警視庁千住署では8月25日になって、外科医を準強制わいせつの疑いで逮捕した。メディアの中には、実名で報じているところもある。調べに対し、外科医は、「やっていません」と容疑を否認しているという。

   これに対し、外科医が勤める柳原病院は、ホームページ上の声明で、職員らへの聞き取り調査や現場検証をした結果、わいせつ行為はなかったと結論づけた。

警視庁「捜査中なので、回答は控えたい」

   声明では、女性患者は、4人部屋にいて、看護婦が頻繁に経過観察に来ており、多くの目があるため、知られずにわいせつ行為はできないと指摘した。行為があったとする手術後35分以内は、「手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったもの」と考えられるとしている。

   「せん妄」とは、意識障害が起き、幻覚を見ることもある状態を指す。

   病院では、被害届が出た後、こうした調査結果をもとに、7月7日に警察に捜査を中止するよう求める申入書を顧問弁護士名で出していた。今回の逮捕についても、警視庁に対し、謝罪や速やかな捜査中止、外科医の釈放を求め、「この様なことが許されれば、今後、施術医師が術後診察に病室を訪れることを躊躇う要因ともなり、正当な医療行為に制約を付すことになりかねない」と怒りを露わにしている。

   ツイッター上などでは、医師らが今回の逮捕について議論を交わしており、麻酔薬では性的悪夢を見ることがあるとの指摘も多い。また、麻酔が切れた数日後もせん妄の症状が現れることがあるという。海外の研究論文なども紹介されており、本当にわいせつ行為だったのか疑問の声が続出している。

   柳原病院では8月29日、女性はせん妄状態だったとしたことについて、「これまでの経験に基づき、論文を調べたうえで結論を出しています」とJ-CASTニュースの取材に説明した。警視庁からの回答はまだないという。

   厚労省の安全対策課は、「麻酔薬すべてではないですが、種類によってはせん妄の副作用が報告されています」と取材に答えている。

   警視庁の広報課では、「捜査に関する事項ですので、回答は控えさせていただきます」とだけコメントしている。

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