2024年 4月 25日 (木)

東芝、決算発表を強行 監査承認なしに「誰のための公表なのか」

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   深刻な経営難に陥っている東芝は2017年4月11日、2度にわたり延期していた16年4~12月期連結決算を発表した。

   東芝の会計をチェックしているPwCあらた監査法人から「適正」の承認を得ないまま、「結論不表明」として発表。監査法人の承認という「信頼性」が担保されないまま決算発表を強行するという、極めて異例の事態となった。

  • 個人投資家らは、東芝の決算発表に憤慨している
    個人投資家らは、東芝の決算発表に憤慨している
  • 個人投資家らは、東芝の決算発表に憤慨している

投資家「絶望的。この会社に未来はない」

   決算発表の3度目の延期か、強行か――。東芝の経営陣は2017年4月11日、16年4~12月期決算の発表を「強行」した。2度の延期でこの日が決算書の提出期限だった東芝は、PwCあらた監査法人とのあいだで、ぎりぎりの調整を進めていた。

   早朝から会議を開いたが、結局、PwCあらた監査法人からの「お墨付き」は得ないまま。東芝は、PwC監査法人から「結論を表明しない旨の四半期レビューを受領した」と発表した。

   東芝の2016年4~12月期連結決算によると、最終損益は5325億円の赤字(前年同期は4794億円の赤字)。売上高が前年同期比4%減の3兆8468億円、本業のもうけを示す営業損益は5762億円の赤字(前年同期は2319億円の赤字)だった。

   17年3月期通期の業績予想については「未定」。また、自己資本は16年12月末時点で2256億円のマイナスとなり、債務超過に陥った。

   延期に延期を重ねたあげく、「3度目の延期」「上場廃止」の不安を抱えたまま4月11日を迎えた東芝。その株価は、朝から決算発表前のリスク回避売りが先行。一時は、前日比15円20銭(6.62%)安の214円50銭まで急落した。

   その後、監査法人の承認を得ないままではあるが、決算発表を開くとの情報が広がると、やや持ち直し、終値は前日比6円20銭(2.70%)安の223円50銭で引けた。

   こうした状況に、釈然としない個人投資家らだろうか、インターネットの掲示板には、

「もうどんな数字が出てきても驚かない自信があるよ」
「東芝の経営陣たちは、自分たちの億単位の退職金を稼ぐために、入社以来一番働いてる」
「こんなんありなのかよ。なんのための監査だよ」
「きっちり倒産させないと、市場が正しい方向に向かっていかない。そのことだけは確かだ」
「経営姿勢の問題。はっきり言って絶望的。この会社に未来はない」

などと、怒りを隠さない。

「3度目の延期」という選択肢もあった

   PwCあらた監査法人が東芝の決算を承認しない背景には、子会社だった米国の原発子会社のウェスチングハウス(WH)の内部統制問題がある。巨額損失を少しでも抑えようと、WHの経営幹部が部下に「不適切な圧力」をかけたとされることから、監査法人としては東芝の内部統制に不備があった期間を含め、過去の決算報告などに疑義をもっているからだ。 しかし、「適切に処理してきた」とする東芝と監査法人の見解の差が埋まらないまま、東芝は決算を公表した。

   現在、特設注意市場銘柄に指定されている東芝株だが、東京証券取引所を傘下に置く日本取引所グループは、「決算書が(関東財務局に)提出されることになれば、虚偽記載や粉飾がない限りは、直ちに上場廃止にはなりません」という。

   ただし、「提出された決算書は今後、日本取引所自主規制法人が精査することになりますが、この段階で、虚偽記載などが見つかった場合、上場廃止になります」と説明する。

   つまり、「直ちに」上場廃止されることはないが、その可能性はくすぶったままというわけだ。

   日本取引所グループの関係者は、

「東芝の選択肢としては、認められるかどうかは別にしても、3度目の延期を関東財務局に申請して承認を得る方法もあったわけです。それを......。 決算発表は本来、誰のために開くものなのか。それは株主であり、投資家ですよね。怒って当然だと思いますよ」

   と、忸怩たる思いを吐露している。

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