東芝メモリー事業めぐる攻防 「最高買収額」提示VS「政府の意向」

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   経営再建中の東芝のメモリー事業売却で、政府系ファンドの産業革新機構と米ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が主体となる「日米連合」が、買収先の有力候補に浮上している。他に複数の日本企業の参加を呼び込み、日米連合のスキームを固めたい考えだ。だが、産業革新機構による出資には批判が予想されるほか、日本企業の参加は不透明で、実現にはなおハードルが立ちはだかる。果たして、日米連合による買収は実現するのか――。

   2017年3月末にあった1次入札には、米ブロードコム、韓国のSKハイニックス、台湾の鴻海精密工業、米ウェスタンデジタル(WD)などが参加した。このうち、シャープを買収して再建に取り組んでいる鴻海が、参加企業で最も大きい「3兆円規模」(関係者)の買収金額を提案したとされる。少しでも多く売却資金を手に入れたい東芝にとっては、金額面の魅力は最も大きいのが鴻海だ。

  • 「日米連合」で買収なるか(画像はイメージ)
    「日米連合」で買収なるか(画像はイメージ)

日米連合のメリット

   これに対し、中国への技術流出を警戒する官邸や経済産業省が、すぐさま阻止に動いた。中国政府と近いとされる鴻海を念頭に、海外企業の出資を審査する外為法で買収にストップをかける可能性を示唆したのだ。外為法の審査に引っかかると、2期連続の債務超過を避けるために不可欠な2018年3月末までの売却完了にも赤信号がともる。東芝にとって、政府の意向に反した結果、売却が阻止されることは避けたいシナリオだ。

   同様に、SKハイニックスなど同業の半導体メーカーの場合にも、各国の独占禁止法の審査が必要になるため、売却手続きに時間がかかるリスクがあった。

   その中で一躍、浮上したのが産業革新機構とKKRを核とした日米連合だ。政府系ファンド主体の買収のため安全保障上の制約が少なく、メモリー事業を早期に売却しやすくなるメリットがある。

   日米連合には、政府系の日本政策投資銀行も参加する見通し。そのほか、東芝と四日市工場(三重県四日市市)を共同運営するWDも合流すると見る向きもある。WDは東芝との独占交渉権を主張しており、交渉決裂で売却の長期化につながることを避けるためにも日米連合に引き入れるのが得策、との見方だ。

「政府系ファンドによる救済」批判の可能性

   一方で、政府系ファンドによる東芝のメモリー事業買収は「救済」という批判を受けかねない。そこで政府が目指すのが、主体となる日本企業の参加なのだが、現段階では思うようには進んでいない。富士通の田中達也社長が4月28日の決算発表会見で「ユーザーとしての立場や、日本の産業競争力の維持などから考えるべきことはある」と述べ、出資の可能性に含みを持たせたのが目立つ程度。他の大手企業の多くは「株主への説明がつかない」(大手企業首脳)などと否定的な立場とされ、どれぐらいの企業の参加が見込めるかは不確定だ。

   仮に主体となる日本企業が現れない場合でも、日米連合は5月19日に締め切られる2次入札に参加する見込み。鴻海が3兆円を提示する中、「2兆円以下では説明がつかない」として、日米連合は2兆円以上での応札を目指しているとされる。日本の半導体メモリー技術を守るために、立ち上がる企業は現れるのだろうか。

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