2024年 5月 2日 (木)

文書暴露の前文科次官にスキャンダル 「読売が特報」は偶然か

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   安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)に関連する「文書」をめぐり、文部科学省・前事務次官の前川喜平氏(62)が相次いでメディアのインタビューに応じたのに続いて記者会見し、文書が「本物」だとの見方を示した。

   この文書をめぐっては、菅義偉官房長官は当初、「怪文書みたいなもの」などと主張。文科省は2017年5月19日、「文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を公表していた。前川氏は1月、文科省の違法な天下りに自ら関与していたとして処分を受け、引責辞任していた。菅氏は前川氏の辞任の経緯について、「責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に連綿としがみついていた」などと、これまでになく激しい表現で非難。数日前には前川氏が「出会い系バー」に通っていたという報道があったばかりだ。

  • 菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏を口を極めてののしった(2017年5月撮影)
    菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏を口を極めてののしった(2017年5月撮影)
  • 菅義偉官房長官は文部科学省・前事務次官の前川喜平氏を口を極めてののしった(2017年5月撮影)

「あるものをないと言ったり、知っていることを知らないと言ったり」

   文書は、特区を担当する内閣府が、手続きを渋る文科省に対して「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと早期の対応を求めたとする内容。朝日新聞が2017年5月17日付朝刊の1面トップ(東京本社最終版)で最初に報じたが、政府は一貫して信ぴょう性を否定してきた。

   だが、前川氏は5月25日までに週刊文春、朝日新聞、TBSのインタビューに相次いで応じ、文書は

「私が現職の時に受け取って私が保管していたものと同一のもの。これははっきりと申しあげられる」(TBS)

などとして「本物」だとの見方を示し、

「行政の筋がおかしいんだということは、ちゃんと説明する責任があるだろうし、あるものをないと言ったり、知っていることを知らないと言ったりというのは、もうこれ以上やるべきじゃない」(同)

などと訴えた。5月25日夕方に開いた会見でも同様の主張を展開した。

前川氏は「逆恨みする理由がない」と主張

   官邸側の反応は激烈だ。前川氏は朝日新聞のインタビューで、事務次官辞任の経緯について

「今回の証言について、首相官邸への『逆恨み』だと受け取られるのではないか」

と記者に問われ、

「再就職をめぐる問題については、私に責任がある。引責辞任は自分の考えで申し出て、大臣と官邸の了解をいただいた」
    「逆恨みする理由がない」

と説明していたが、菅氏は5月25日午前の会見で、

「私の認識とは全く異なっている」

と主張。その上で、

「前川氏は今回の文科省の天下り問題については、再就職監視委員会の調査に対して問題を隠蔽した文科省の事務方の責任者で、かつて、また本人も、文科省のOBの再就職の斡旋に直接関与していた。そういう報告になっている。そうした状況にもかかわらず、当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に連綿としがみついておりましたけれども、その後に天下り問題に対する世論からのきわめて厳しい批判等にさらされて、最終的に辞任をされた方であった、このように承知している」

などと口をきわめて前川氏をののしった。辞職の経緯をめぐる前川氏の主張に反論するおとで、前川氏が政府に「逆恨み」した、という印象を強調した形だ。

「大臣のもとで調査して確認できなかったから『ない』」

   同日午後の会見でも、

「怪文書という認識に変わりはないのか」

と問われて

「出所不明で信ぴょう性も定かでない文書である、それにはまったく変わりない」

と断言。文科省が文書の存在を「確認できなかった」とした調査では、共有フォルダのファイルを調査したり関係者にヒヤリングを行ったりしたが、PC内部を調べることまではしていない。こういった調査で「なかった」と断言するのはおかしいと指摘する記者もいたが、菅氏は

「文部省(原文ママ)で大臣のもとで調査をした。その結果確認できなかったから『ない』ということ。それに尽きる」

と主張した。

   5月22日には、前川氏をめぐる「珍しい」記事も掲載された。読売新聞朝刊に「前川前次官 出会い系バー通い」という見出しで、前川氏について

「在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」

などと報じられたのだ。

読売記事に「これほどの恐怖政治というか...」

   この記事がどういった経緯で掲載されたかは明らかではないが、25日午後の民進党・蓮舫代表の記者会見では、月刊誌の編集長が

「私はこの商売30年間やっているが、これほどの恐怖政治というか、メディアと政治のある種の恐ろしい状況というのは、霞ヶ関はどう考えたのだろう」

と指摘。蓮舫氏も、すでに退職した人が、まだ摘発もされていない店舗に出入りしていたことが報じられることへの違和感を示しながら、

「時の権力者に不都合なこと、あるいは侮辱をするようなことを言うことによって、きわめてプライベートな情報が、どこからか漏れるのではないかというリスクは相当怖い。ある意味、萎縮効果につながりかねないと思っている」

と応じた。民進党は前川氏の参考人招致を求めているが、与党は拒否している。

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