SB傘下のARM、深センで合弁 孫正義・中国が狙うもの

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   東芝の半導体事業の売却先をどこにするかなど日本では大きく議論されているさなか、2017年5月14日、ソフトバンク傘下の世界的半導体メーカーARMと中国の投資ファンド厚安創新基金が合弁会社設立における協力の覚書に署名したと中国メディアの『財新』が報道した。

   同合弁会社の本部は深センに設けられ、ARMがチップの設計に必要な知的財産権や技術サポート、トレーニングを提供するが、過半数の株式は中国側が保有するという。

  • (2010年5月撮影)
    (2010年5月撮影)

モバイル、IoT、人工知能に投資

   今回、ARMが中国で合弁会社を設立する目的は、中国側が持ち株の過半数を保有したうえで、国内で重要なチップコアの知的財産権の開発とサービスのプラットフォームに育て上げることにある。今回の署名は協力の覚え書きの段階で、関係各方面の持ち株比率など詳細な点はまだ発表されていない。

   同業界のサイトである「集微網」の報道によると、合弁会社はARMのグローバル・イノベーションシステムと技術基準を頼りに、中国市場のニーズとを結合させ、複雑な計算や図形処理、人工知能、ネットワークセキュリティなどさまざまな集積回路設計の知財製品の研究開発o販売を狙っている。

   厚安創新基金は17年1月に中国投資有限責任公司、シルクロード基金、シンガポールのテマセク、深圳深業集団、厚朴投資そしてARMが共同で設立した。投資規模は8億ドルで、ARMと厚朴投資が管理を担当する。同基金の目標はARMのグローバルな産業システムと結合し、モバイルネットワークやモノのインターネット(IoT)、人工知能など多くの基幹分野で潜在力を秘める技術企業への投資に力を注ぐことだ。

   ARMは「携帯の心臓」と称賛され、低コストで低消費、かつ高性能のチップ開発に取り組んでおり、全世界にあるスマートフォンやタブレットの99%に同社のアーキテクチャが使われている。すべてのiPhoneおよびiPadにもARMのチップが使われており、キンドルやアンドロイド端末などにも同様に同社のアーキテクチャが使用されている。

中国政府のバックアップ、将来は上場も

   2016年7月、ソフトバンクが243億ポンドで英国に本社のあるARMを買収したが、ソフトバンクはARMの株式を1株当たり17ポンドで現金購入した。これにより、ARMの株式は前日よりも43%も高値を付けて当日の取引を終えた。

   将来的にIoT時代が訪れると、ARMのアーキテクチャチップの流通量は数兆レベルに達することだろう。ソフトバンクの孫正義氏は5月14日に「中国企業で生産されるチップが今後世界各地に輸送されることになり、今日、我々はこの合弁企業を設立し、将来的には新製品を共同生産し、中国のエンジニアや企業を通じてそれを世界に送り出すことだろう。我々の前途には、非常に明るい未来が待っている」と挨拶で述べた、と中国メディアの『集微網』は伝えている。

   ARMの合弁会社は、中国資本が参加して中国国内における収益をARMと分け合うことになるのに加え、これによって中国政府による大きなバックアップを得られることだろう。将来的にARMの国産化によって、中国でのIPO(株式公開)でさえ夢ではない。

   ARMは、中国に合弁企業を構える唯一の海外科学技術企業ではない。近年、情報技術の「自主コントロール」に対する中国政府の要求は高くなる一方であり、マイクロソフト、シスコ、ウェスタン・デジタル、HP、クアルコムなどの各海外企業は、いずれも中国で中国側の持ち株が過半数という合弁企業を有している。しかし、「携帯の心臓」という業界における重要な地位を有するゆえに、ARMによる合弁会社設立のニュースは特に人々の関心を集めた。

   『財新網』は、「(ARMの今回の行動は」情報の安全に対する国家の要求を満たすだけでなく、この機会に中国側との協力によって国産化されたイノベーションの国内展開を期待したい」と解説している。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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