2024年 4月 23日 (火)

出光経営陣の「不意打ち」 創業家側は「増資」に猛反発

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   昭和シェル石油との合併をめぐる出光興産経営陣と創業家との対立が、新たな局面に入った。合併実現を目指す経営側は2017年7月3日、「成長投資に充てるため」として公募増資を決定。これに対し、創業家側は「持ち株比率を低下させることが目的」として、差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。地裁の判断がどうなろうとも、両者にこれまで以上のしこりが残るのは確実で、その後の対応が注目される。

   出光の計画によると、発効済み株式の3割にあたる4800万株の新株を発行し、最大約1385億円の資金を調達する。インドネシアなどでの海外事業や有機EL材料関連の成長投資、2016年12月に昭和シェル株を取得した際の資金の返済などに充てる――としている。

  • 出光の創業者側と経営側の対立は深まるばかりだ(画像はイメージです)
    出光の創業者側と経営側の対立は深まるばかりだ(画像はイメージです)
  • 出光の創業者側と経営側の対立は深まるばかりだ(画像はイメージです)

「拒否権」確保ラインめぐる攻防

   しかし、創業家側はこの説明を素直に受け入れるはずがない。創業家側が握る出光株の保有割合は現在33.92%。合併など重要な議案を株主総会で拒否できる「3分の1超」をギリギリ占めている。今回の増資が実施されれば比率は26%台に低下し、合併計画への「拒否権」を失うことになる。

   増資計画発表が、6月29日の株主総会から間もなかったことも、創業家の怒りを増幅させた。なにしろ木曜日に総会を終え、週末を挟んで翌週月曜日の発表だ。株主総会は株式会社の最高意思決定機関。総会前から計画を練っていたのに、終了後、「不意打ち」したと映ったに違いない。

   創業家側は猛反発し、計画発表翌日の7月4日、東京地裁に仮処分を申し立てた。その翌日には今度は経営側が「創業家側の主張は明らかに誤り」とのコメントを発表し、全面対決の姿勢をみせた。払込期日は20日~26日までのいずれかだとしている。

   経営側が一気に強硬手段に出たのは、石油元売り業界の生き残り競争が厳しいためだ。4月、業界首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油が経営統合し、JXTGホールディングスが誕生し、着々と圧倒的な「首位固め」を進めている。2位の出光は、一刻も早く昭和シェルと統合しなければ、ますます引き離されてしまうと危機感を強めた。

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