2024年 4月 25日 (木)

大手メディアの「甲子園」報道は過剰 スポーツライター「他の運動部にもドラマはある」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   「『甲子園』は過剰報道」「野球以外の運動部は怒らないとおかしい」――。学生駅伝を中心に15年以上取材を続けるスポーツライターの酒井政人氏がツイッターに寄せた、高校スポーツ報道の「偏り」を問題視する投稿が、インターネット上で議論を呼んでいる。

   酒井氏は2017年7月21日のJ-CASTニュースの取材に対し、「マイナーな競技は大手メディアの記者に見向きもされない」と指摘。その上で、「部活動はあくまで『教育の一環』なのに、野球と『それ以外』で扱いに差が出るのはおかしいのでは」と訴える。

  • 高校スポーツは「甲子園」だけじゃない
    高校スポーツは「甲子園」だけじゃない
  • 高校スポーツは「甲子園」だけじゃない

高校総体や高校サッカーの報道は...

   酒井氏は高校スポーツ報道の「野球偏重」について、7月19日に更新したツイッターで次のように問題提起した。

「全国大会を目指して汗を流しているのは野球部だけではありません。『甲子園』は過剰報道だと思います。公共性を担う大手メディアは、スポーツにおける『価値』を考えた報道をすべきではないでしょうか。他の運動部にもドラマはたくさんある」

   さらに続けて、NHKの報道姿勢を「公共放送なのに偏っています」と疑問視。甲子園は1回戦から地上波で生中継するにも関わらず、他の球技では決勝試合のみを「BS」で放送するだけだ、とも指摘した。

   こうした酒井氏の訴えの通り、確かにマスコミ報道における「野球」と「それ以外」の高校スポーツの扱いには大きな差がある。

   J-CASTニュースが21日13時時点で、グーグルのニュース検索機能で「高校スポーツ」と調べたところ、検索結果に出た上位50本の記事のうち、4分の3以上の計38本が高校野球関連の記事だった。

   また、「日経テレコン」の新聞記事データベースで、2015年以降の一般4紙(朝日、読売、毎日、産経)とスポーツ5紙(ニッカン、スポニチ、報知、サンスポ、デイリー)の記事を調べると、次のような結果になった。

「高校野球」のワードを含む記事...7万1794件
「高校総体」のワードを含む記事...1万5308件
「高校サッカー」のワードを含む記事...4333件

   「高校総体」はサッカーや陸上、バレーやバスケなど30種目以上の競技が開催される大会だ。にも関わらず、「高校野球」の1種目と比べてここまで記事の本数に差が出ているのだ。

甲子園報道は「問題?」 アンケートの結果は...

   上述した酒井氏のツイートをきっかけに、インターネット上では高校スポーツの報道のあり方が議論を呼んでいる。ツイッターやネット掲示板には、

「甲子園が人気なのは良いことです。 でも他競技の報道が少ないことは確かです。変えましょう」
「野球も好きだけど高校くらいは平等に他の競技扱ってほしいね」

などと酒井氏の訴えに共感する意見が出る一方、

「そもそも甲子園自体主催が新聞社じゃん。売り上げのために取り上げて当然でしょ」
「甲子園以外の高校スポーツの世間の関心が低いのだから当たり前では?」

と反発する声も目立つ。そのほか、学生のアマチュアスポーツを利益目的で取り上げること自体がおかしいとして、「野球もサッカーもバレーもなにもテレビ中継しなくて良いんじゃないの。ただの部活なんだし」といった指摘もあった。

   なお、J-CASTニュースでは21日昼、ツイッターの投票機能で酒井氏の主張に関する簡易アンケートを実施した。同日夕までに計81票が集まったアンケートの結果は、「『甲子園偏重』報道は問題。他の部活動も報道すべき」が48%、「競技の人気や話題性を反映した結果。このままでいい」が33%、「(現在の報道に)納得はできないが、仕方がないと感じる」が19%だった。

「なぜ高校野球だけが・・・」

   酒井氏は7月21日、J-CASTニュースの取材に応じ、今回のツイートを投稿したきっかけについて、

「陸上競技をメーンに取材をする中で、まず感じたのが『箱根駅伝』ばかりが取り上げられるという点でした。同じ大会でも、記者が集まるのは箱根に出ている選手ばかり。短距離など他の種目で選手が優勝しても、まったく見向きもされないんです」

と話す。こうした陸上取材での経験から、同じ疑問を高校スポーツ全体にも抱くようになり、「甲子園の過剰報道」について問題意識を感じるようになったという。

   実際、酒井氏は高校陸上の大会を取材する中でも、大手メディアの「高校野球に偏った」報道を実感することがあった。通常、陸上競技の県大会や関東大会は高校野球の地方大会と同時期に行われるというが、酒井氏は、

「地方紙や専門メディアは別として、大手メディアは陸上の県大会にはまず取材に来ない。どこも高校野球の地方大会には取材に行っているのに、これはおかしいんじゃないかと感じていました」

と指摘する。

   その上で、インターネット上では「このまま、高校野球を重んじた報道を続けるべき」との意見も出ていることについては、

「『高校野球は大きく報じられて当然』と刷り込まれている人もいるように感じます。改めて、なぜ高校野球だけが地方大会の1、2回戦から試合結果が報じられるのか、それは本当に必要なのか、もう1度皆さんにも考えて頂ければと思います」

と話す。その上で、「部活動はあくまで『教育の一環』なのに、野球と『それ以外』の種目でメディアの扱いにこんな差が出るのはおかしいのではないでしょうか」とも訴えた。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中