2024年 4月 25日 (木)

3横綱1大関が休場の異常事態 体重増・基本動作とけがとの関連

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   大相撲秋場所の幕内では、初日から3人の横綱を含む5人が休場、3日目からはさらに2人がけがで途中休場となった。

   最近の相撲人気を支える多くの人気力士たちの姿がない本場所の土俵は、なんとも寂しい。専門家が指摘するのは、稽古の質と体重の増加だ。

  • 3横綱1大関が休場の場所となった(今場所の写真ではありません)
    3横綱1大関が休場の場所となった(今場所の写真ではありません)
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インナーマッスルを鍛える四股が減った?

   白鵬は左膝痛、鶴竜は右足負傷、稀勢の里は左胸や左足首のけが――。日馬富士を除く3横綱はいずれも、こうした理由で秋場所を初日から休んでいる。先場所優勝争いに絡んだ平幕の碧山も、膝の痛みで休場となった。さらに大関の高安と、多彩な技で人気の平幕・宇良は2日目の取組の際に負傷して3日目から休場だ。高安は右太ももの筋肉の部分断裂、宇良は先場所中に痛めた右膝痛を悪化させた。

   激しくぶつかり合う力士にとって、けがは宿命かもしれない。それにしても、3日目で既に幕内だけでも7人が休場し、うち6人がけがのためだ。何が起きているのか。

   2017年9月12日付の朝日新聞デジタル記事は、相撲の基本動作のひとつ「四股」に注目した。土の上で踏む四股が減っているのがけがの要因だとみる。最近は相撲部屋の土俵以外では土の上で四股が踏めない。硬い床の上でたくさん踏むと膝に負担がかかる。そのため体づくりを筋力トレーニングに頼る傾向にあるとの指摘だ。

   四股の効果については、複数の整骨院のウェブサイトで説明がある。例えば「あさひ接骨院・鍼灸院」のサイトには、「最も優れた体幹トレーニングだそうです」として、正しい四股の踏み方を解説。また「元横山整骨院」のサイトでは、四股と同じ相撲の基本動作「股割り」と合わせて、「股関節の柔軟性を向上するとともに股関節のインナーマッスルを効率よく鍛えることが出来ます」としている。

   日本相撲協会では、相撲の基本動作を手本とした「相撲健康体操」を考案し、一般向けの普及に努めている。もちろん、四股も体操の一部だ。「股関節、足腰の強化になります。全身の重心を安定させる、足腰の基礎運動。冷え症にも有効」との説明がある。

   力士にとって、足腰の強さと柔軟性は生命線。もし四股が減っているとしたら、けがが増えるのは納得できる。

高安は重すぎて一度大関とりに失敗

   元NHKアナウンサーで相撲ジャーナリストの杉山邦博氏も、2017年9月13日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で「四股やてっぽうが減っている」と稽古の質と量の変化に疑問を投げかけた。さらに強調したのは、力士の体重増加だ。幕内力士の平均体重は、1975年の126.3キロから2017年には163.5キロと、40年ほどで37キロも増えていた。杉山氏は「(筋肉と脂肪の)全体のバランスを考えると重すぎる。相撲の内容が大味になる。技能を見せて客を堪能させることから離れている」と警鐘を鳴らす。

   「平成の大横綱」と称えられた貴乃花。同時代のライバルに横綱の曙や武蔵丸、大関小錦のハワイ勢がいた。杉山氏によると、巨漢でパワフルなハワイ出身力士に対抗するため、貴乃花は師匠から体重増を勧められたという。120キロほどだった貴乃花は、150キロまで増やした。

   近年は以前に比べて力士の「多国籍化」が進み、大柄な外国人力士が増えた。「パワーにはパワーで」と考えて増量を目指す力士もいるだろう。とはいえ杉山氏は、最近の傾向は「異常」だと話す。この1年を見ると、休場した高安は5キロ増の182キロに、「小柄」と言われる宇良は10キロも増量していたのだ。

   2017年5月17日付のスポーツニッポン電子版に、力士の体重に関する興味深い記事が掲載されていた。今年の夏場所初日の幕内で、体重の重い力士と軽い力士の取組は前者が13勝、後者が8勝。だが体重差10キロ以上あった取組では、重い力士が7勝6敗で拮抗し、30キロ以上になると軽い力士の方が5勝1敗だった。2日目には、軽い力士が重い力士に対して12勝9敗と勝ち越したという。

   当時関脇だった高安についても触れていた。初の大関とりの場所だった2016年九州場所は「体重が重すぎたことも影響して、7勝8敗と負け越した」として、「どの力士にも適性体重はある」と指摘した。なお夏場所では「174キロで初場所前の測定より5キロ減となった」。この場所、高安は11勝を挙げて大関に昇進した。

   杉山氏が話したように、バランスの良さこそが体への負担を減らすと同時に、成績にも影響してくるようだ。

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