2018年 12月 17日 (月)

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「首相案件」の言葉に違和感 官僚なら「総理案件」

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   またカケ問題が話題になっている。当時の総理秘書官が「首相案件」だと言ったとの愛媛県職員のメモが出てきたと報道されている。

   このメモの真偽はわからないが、筆者のように官邸勤務経験のある元官僚からみると、「首相案件」という言葉には違和感があった。

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政局になっている動き

   内閣総理大臣が正式名称(憲法66条)で、略して「総理」。官僚はこうした言葉遣いには慎重で、根拠を求める。筆者も官邸では「総理」と呼び、「首相」とは言ったことがない。総理秘書官も同じだ。「首相」というのは俗称、新聞で使われる用語で、もし、官僚が言うなら、「首相案件」ではなく「総理案件」だろう。

   ただ、政局からみれば、このメモは絶好の話題だ。政局は、総理のクビを取ることができれば理由はなんでもいい。

   実際、自民党内で政局として動き出している。与党の実力者たちが会合を繰り返していることは、政局になっていることを示している。

   それを後押しするように、多くの新聞報道は、安倍総理と加計学園理事長が友人だったから、獣医学部新設で便宜を図ってもらったかのように書かれている。

   しかし、政策論からみれば、本件での規制緩和とは、文科省による学部新設の認可ではなく、認可を「申請」していい、という「規制緩和」だ。

   筆者は、この点を国会でも証言している。学部新設認可を運転免許にたとえ、運転免許取得に政治家が介入し捻じ曲げれば問題であるが、自動車学校に入れる程度の話で大騒ぎするのはバカバカしい。

国会解散になっても不思議ではない

   今回、文科省による学部新設認可のプロセスは、文科省審議会以外の人は一切関与していないで、昨17年に行われたことが明らかだ。

   これをみても、文科行政が歪められたとの意見は行政の素人の戯言である。

   いずれにしても、本件を政策論の観点でみると、獣医学部が50年以上も新設が文科省で認められてこなかったという経緯がある。しかも、それは文科省告示によって認可申請を行わせないという、およそ一般常識からは考えられないものだ。もし、これが一般の企業であれば、行政訴訟をすれば、確実に文科省が負けるだろう。そうした歪んだ文科行政を特区という枠組みを使って、直したというところだ。

   この政策論の立場からすれば、報道されているメモに書かれていることは、仮に事実としても下らないことだ。

   しかし、政策論としていかに下らないことでも、政局になりうるのも政治だ。政局としてみると、予算も通った国会開催中なので、国会解散という事態になっても不思議ではない。

   来5月にも米朝首脳会談が行われ、北朝鮮情勢で戦後最大級の転換点を迎えようとしている。外交ではこれまでの経験がモノをいう。初めまして、ではまともな突っ込んだ話をできるはずがない。それなのに、国内の下らない政策論で政局になっているのは、国民としてはやり切れない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。


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