危険タックルの問題で揺れる日本大学アメリカンフットボール部の学生による声明文が、2018年5月29日発表された。危険タックルへの監督の指示、コーチ陣の解任などについての直接的な表現はなかったが、行間の随所に問題への「告発」ともとれる思いがにじみ出ていた。東大・森コーチ「非常に重い文章」声明の発表後、「newsevery.」(日本テレビ系)に出演した東京大学アメリカンフットボール部の森清之ヘッドコーチは、「非常に重いですし、すごく気持ちの伝わってくる文章だと思いました」と評価、「(冒頭で謝罪をしたことについて)自分たちもその当事者だという、その認識と責任をすごく感じていると、これを宮川選手1人に背負わせることは絶対にできないという、チームメイトとして素直な気持ちだと思います」と感想を述べた。また文面に込められた意図について、「きちんとした警察なり、連盟なり、大学なりの、きちんとしたヒアリングに、誠実に答えるということだと思います」と分析した。発表された声明文には、関係者に対する謝罪、第三者委員会や警察の調査に部員一同が協力するという表明などがメインでつづられており、事前に報じられていた、監督によるタックル指示やコーチ陣の退任要求などについては具体的な言及が避けられている。そのため、ネットでは「立派な内容」と評価する声もある一方で、「何とも中途半端。既成の言葉が並べられているだけですっきりしない声明文だ」「コーチ陣の脅迫に屈した模様」といった批判も相次いだ。「指示に盲目的に従ってきた」しかし、文章の行間を読み解いていくと、学生たちが何を言いたかったのかがよく分かる文章はいくつもある。例えば、「これまで、私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまいました。それがチームの勝利のために必要なことと深く考えることも無く信じきっていました」といった表現は、監督からの指示・圧力が絶対的なものであり、単独で会見を開いた宮川泰介選手が決して例外でなく、チーム全体に「盲目的な」姿勢があったことを認めている。また、危険タックルが監督の指示かどうかという点には触れていないが、間接的にそう思わせる表現もある。「(宮川選手が)とても追い詰められた状態になっていたにもかかわらず手助けできなかった私たちの責任はとても重い...」「私たちのふがいない姿勢が今回の事態を招いてしまった...」さらに、「日本大学アメリカンフットボール部全体が生まれ変わる必要があることを自覚しています」と表現。「私たち日本大学アメリカンフットボール部が、部の指導体制も含め生まれ変わったと皆様に認めていただいた時には...」「私たちは、今回の件の深い反省のもと、真剣に、謙虚に、一丸となってチーム改革を実行していく所存ですので、どうかご指導のほど、よろしくお願い致します」などの文章は、学生だけでなく、監督・コーチら指導陣も含めて生まれ変わる必要があると強調している。
記事に戻る