2024年 5月 9日 (木)

引退回避へ「マジック1」 稀勢の里、それでもピンチまだ続く

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   大相撲の秋場所に進退をかけて臨んでいる横綱稀勢の里(田子ノ浦)が、引退回避のマジックを「1」とした。2018年9月20日の秋場所12日目、関脇御嶽海(出羽海)を寄り切りで下し、9勝目を挙げた。引退回避の目安となる2ケタ勝利まであと1勝としたが、残り3日間で1大関、2横綱との対戦を控えており、依然として予断を許さない状況が続く。

   連敗だけは避けたい稀勢の里は、立ち合い右を張って出た。低い体勢を保つ御嶽海は、稀勢の里の胸に頭を預け、強烈な右のおっつけを繰り出した。稀勢の里はなんとか左を差そうとするも、御嶽海のおっつけがそれを許さない。動き回る御嶽海を右で抱え込み、強引に左をこじ入れると、最後は右上手を取って寄り切った。

   勝利の瞬間、館内は手負いの横綱に割れんばかりの拍手を送ったが、土俵上の主役は、表情を変えることなく少し首を傾げただけだった。インターネット放送のAbemaTVで12日目の解説を行った谷川親方(元関脇北勝力)は「体調は戻ってきている」と復調の兆しを示唆したが、当の本人は、この日の相撲内容に納得していない様子だった。

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いまだ見えぬ復調の兆し

   すでに勝ち越しを決めているものの、ここまでの相撲は安定感に欠けるものだった。立ち合いの腰が高く、土俵上で相手に背中を見せる場面が何度も見られた。9日目に大関栃ノ心(春日野)、10日目には遠藤(追手風)を下して復活への足掛かりをつかんだかに見えたが、11日目は一転、逸ノ城(湊)に立ち合いから3発の突きを食らい、あっけなく土俵を割った。

   12日目の御嶽海との一番は終盤戦に向けての試金石でもあった。今場所、大関取りに挑んでいる御嶽海は、この日までに6勝5敗と調子に乗り切れていなかったが、将来を期待される25歳の成長株。稀勢の里が8場所連続で休場している間に急激に力を付けた御嶽海をどうさばくかに注目された。

   日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)は場所前、秋場所における稀勢の里の成績面について、具体的な要望を出さなかった。本来ならば、最低でも優勝争いに絡むことが横綱の務め。8場所連続休場明けの場所を考慮しても2ケタ勝利は必達で、引退回避の目安となる。横審の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は5日目を視察した際もまた、成績面に関して明言を避けたが、このまま1ケタ勝利で場所を終えることがあれば、進退について言及せざるを得ないだろう。

歴代横綱の引き際は

   年6場所制となった1958年以降、場所中に引退した横綱は18人。この中で、大乃国(4勝5敗)と貴乃花(4勝4敗1休場)の9日目での引退が最長で、10日目以降に引退した横綱はいない。半分以上の横綱が5日目以内に引退しており、このデータから見ても分かる通り、歴代の横綱は、優勝争いに絡めず、2ケタ勝利が見えなくなった時点で自ら土俵を降りている。

   13日目は横綱白鵬(宮城野)との対戦が決まっており、14日目は横綱鶴竜(井筒)、そして千秋楽は大関豪栄道(境川)との取組が予想される。優勝争いの渦中にいる大関、横綱との3連戦で、少なくともあと1勝を挙げなくてはならない。現実的に厳しい状況であることは変わりない。背水の陣で臨む手負いの横綱に「引退」の2文字が重くのしかかる。

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