2018年 11月 14日 (水)

20代の転職で一番大事なこと プロが「能力」より「素直さ」と断言する理由

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   「未曽有の人手不足」と言われる昨今、活況が続く現在の転職市場では、20代の若手人材に対する需要も以前とは比べものにならないほどだ。とはいえ、転職を成功させるために十分な準備が必要であることは変わらない。企業が採用にあたって重視するポイントは年齢層によって異なるため、必要となる対策も年代によって自ずと違ってくる。連載第2回となる今回は、20代ならではの転職のポイントを紹介しよう。

   20代の転職には何が必要なのか――。急成長中の転職エージェント「Spring転職エージェント」のトップ・板倉啓一郎氏はJ-CASTニュースの取材に、「素直さ」という言葉を使った。それは20代にとって、実績や能力よりも大事なのだという。

アデコ執行役員・人財紹介事業本部長で「Spring転職エージェント」最高責任者の板倉啓一郎氏
アデコ執行役員・人財紹介事業本部長で「Spring転職エージェント」最高責任者の板倉啓一郎氏

「痛いところを突かれても素直に聞けるか」

   Spring転職エージェントは、世界最大の人材サービス会社アデコ(本社・スイス)の日本法人が運営する転職サービスだ。特長は2つある。1つは、業種でなく職種ごとに部門を分けて専門性を高め、他では得られない深い情報を提供する「職種別専門性」の体制を構築していること。もう1つは、担当を企業側と人材側に分けず、すべてのコンサルタントが企業と転職希望者どちらともやり取りする「360度式コンサルティング」という人材紹介手法をとっていることだ。

   今年1月に発表された最新のオリコン「顧客満足度ランキング」転職エージェント部門で、Spring転職エージェントは堂々の1位に輝いた。その立役者となったのが、今回話を聞いた板倉氏。Spring転職エージェントのトップに就任した2014年からの4年で、売上高は約4倍増というめざましい実績を挙げている。

   その板倉氏は、企業が採用活動にあたって重視するポイントとして「20代は成長の伸びしろがどれくらいあるか。そのためにベーシックな気質の部分や、ソフトスキルが重視される傾向があります」と話す。応募時点での経験や能力よりも、将来性を評価する、「ポテンシャル重視の採用」だ。

   その人物が入社後にどれくらい成長するかを見極める判断材料は、企業によって異なる。ただ、板倉氏は、「どの企業にも共通する要素がひとつある」と言う。それが「素直さ」だ。

「特に若手の場合、『素直さ』は伸びるかどうかにかなり影響します。厳しいことを言われても素直に聞けるかどうか。痛いところを指摘された時、ムキになって反論するのではなく、素直に受け止めて前向きな反省につなげられるかどうか。それができる人は必ず伸びます」

「面接では、自分を良く見せるためにいいところばかりアピールしがちです。若手でも大きな業績を挙げている方はもちろんいますが、多くの方にとっては学びの時期であり、企業側もそれは分かっています。成功談ばかりでなく、失敗から何を学んだかを伝えることによって、将来の可能性を見せることができます」

   素直に反省し成長につなげられるかどうかは、板倉氏いわく「理想と現実の自己一致」、つまり自分の現在地を客観的に見る力が重要とのことだ。

「若い方々の中には、空想の理想的な自己と現実の乖離が激しい方がいます。空想と現実の差が大きいと、その乖離にストレスや矛盾を感じて転職を繰り返すケースが多くなるでしょう。自己分析の結果、悪いところが浮き彫りになってもいい。認識できていればいいのです。一番怖いのは悪いところを認めない、あるいは人から指摘されても聞く耳を持たないこと。その人には何を言っても無駄だと周りも思って、誰も何も言わなくなります」

「『ミスマッチ』では片付けられない問題」

   転職の「売り手市場」の傾向は20代でも顕著で、「転職したいと言って手を挙げると、かなりの確率で転職できますし、条件も良くなるという状況になっています」という。

   一方で、議論の対象にもなるのが「3年以内離職率」の高さだ。厚生労働省の最新の統計によれば、大学新卒者(2014年卒)の3年以内離職率は32.2%にのぼる。

「この状況を見ると、『ミスマッチが起きているんじゃないか』と言われますが、実は『ミスマッチ』なんていう言葉では片付けられない問題があります」

   企業側の求めていた人材像に採用した人材が合致しないこと、あるいは、人材が入社前の予想に反して入社後にその会社で自身の能力を発揮できないこと、といった意味で言う「ミスマッチ」。企業側にも人材側にも「こんなはずじゃなかったのに...」と思わせる悩ましい問題で、ミスマッチが起きれば、せっかく就職しても早期に離職を選んでしまうことは珍しくない。

   バブル崩壊以降、日本の経済は大きく変化した。「社員の面倒を一生見るという旧日本的な企業カルチャーが変わり、会社と個人の間に一定の距離感が出てきました」。その後、経済が回復してくると、「必死に勉強してスキルも磨かないと就職できないかといえば、そうではなく、ほとんどの人が就職できています」。板倉氏は「これは環境の要因もある」と言う。

「誤解を恐れずにいうと、日本人は同調志向が強い部分があります。学生の就活において、周りが就職活動を始めると、同じように始め、内定が出始めると、拙速に受諾する方が多いのが現実です。『ミスマッチ』という以前に、会社や仕事への理解、自身への理解が浅い状態で入社してしまうのです」

「就職から1~2年間はインターンシップをしているようなもの」

20代特有の転職のポイントについて語った
20代特有の転職のポイントについて語った

   ただ、板倉氏はこうした現状をネガティブに捉えているわけではない。

「海外では卒業後の進路を決める際、長期間のインターンシップを行うことが当たり前になっています。そこで認められて正式に雇用されるというパターンです。

日本でも以前に比べるとかなりインターンシップが盛んになっていますが、長期のインターンシップを経験している学生が果たしてどれくらいいるでしょうか。学生の多くは、企業のことを深く理解しないまま採用試験を受けます。企業側も、本当にその人が自分たちの求める人材かどうか分からない。お互いがそういう状態で入社していくのです」

   こうして考えた時、「最初に就職した企業を離職するまでの期間が3年というのは、むしろ長いという見方もできます」と板倉氏は言う。

「最近の20代の方々は、就職してから1~2年間はインターンシップ感覚で働いている方が多いように見受けられます。大切なのは、入社後は自分の能力や適性、気質を見極める期間として捉え、与えられた仕事に懸命に取り組むことです。

その結果、どうしても自分に合わないという気持ちが強くなった場合、転職も一つの選択肢でしょう。自己分析をした上で、次の企業を慎重に選んでいただきたい。最初に勤めた会社で自分が何を経験したか、何ができて何ができなかったか、どんなことを学んだか、そうした自己分析をして次にチャレンジをすることが大事になります」

短期間で転職を繰り返すのはNG

   一方で、20代が転職活動をする際の注意点も、もちろんある。

「よくアドバイスするのは、短期での転職を何度も繰り返していくと、だんだんと入れる企業は少なくなっていくということです。特に、それらの業務に一貫性がない場合はさらに厳しくなり、マーケット価値は落ちていきます。良い転職先も見つからないでしょうし、待遇も良くならず、ポジションも上がらない。さらにスキルも磨かれません」

   目安ですが、20代で転職経験3回以上となると、多いと思われるでしょう。先程お話ししたように最初の転職は仕方がない側面もあると思いますが、あまり多く繰り返すと、『がまん強さがない人』と見られてしまう傾向はあります」

「働きやすさ」とは「楽ができるかどうか」ではない

   転職先の企業を探すにあたり、陥りやすい落とし穴もある。「働き方改革」について、「今は20代の人も敏感です」とした上で、板倉氏はこう言う。

「ただ、働きやすいというのは、決して仕事が楽だということではないんです。いまは、フレックスタイム制でいつ会社に来てもよかったり、リモートワークを推進してオフィスに来なくてもいいという会社がたくさんあります。そして、人材を集めるために、働きやすさをアピールします。しかし企業活動というのは、成果を生み出さなくてはいけません。実績を挙げているかどうか、非常にシビアに見られます。

企業にとっての大きな指標のひとつが生産性です。限られた時間のなかでどれだけ成果を挙げているか、ということですね。より大きな成果のために、働きやすい環境を提供しているのです。それを、『この会社に入れば楽ができそうだ』と思って入社すると、あとで苦労するでしょう」

カギはやっぱり「自己分析」

   転職活動を進める上で重要なのは、板倉氏も繰り返している「自己分析」だ。

「自己分析を通して自分の強みは何かを明確にするのが第一です。そして、転職先の企業でその強みを生かせるということ、また、挑戦したいという気持ちを表すことは、すごく大事です。『自分はこの会社でこういう貢献ができる』ということを話す。たとえば何かの分野でナンバーワンになるという意欲があることを示す。そういったものを伝えられることが必要だと言えるでしょう。

自己分析をするにあたっては、私たち『Spring転職エージェント』のようなサービスを使い、エージェントと面談してみるのもいいでしょう。日々さまざまな人材・企業とやり取りしており、転職を成功させた人、逆に失敗してしまった人の例も数多く知っていますので、お役に立てることがあるはずです」

*Spring転職エージェントの詳しい情報、自己分析の基本などはこちらの記事でも紹介
「転職」の成功率、こうすれば高くなる プロが見てきた「失敗する人」

Spring転職エージェントのウェブサイトはこちら

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