2019年 6月 26日 (水)

動画公開でも韓国「証拠とはみなせない」 どこまでこじれるレーダー照射

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   韓国海軍の駆逐艦が海自機に火器管制レーダーを照射した問題は、現場の動画が公開されても両国の隔たりは全く埋まらないままだ。

   これまで韓国メディアは、両国での協議が続く中で動画が公開されれば、さらに事態がこじれる可能性を指摘してきた。韓国国防省は動画公開に「深い憂慮と遺憾」を示したうえ、動画を日本側の主張を支える「客観的証拠としてみなすことはできない」としており、対立は続きそうだ。

  • 防衛省が公開した動画では、海自機の乗組員が「あー出してます。FC系(編注:火器管制レーダー)出してる」などと話す様子が収められている
    防衛省が公開した動画では、海自機の乗組員が「あー出してます。FC系(編注:火器管制レーダー)出してる」などと話す様子が収められている

従来なら水面下の対話で「誤解」解けたはず

   これまで韓国側は、駆逐艦は北朝鮮漁船の捜索のために三次元レーダーの「MW-08」は使用したが、問題になった射撃統制レーダー「STIR-180」を海自機に向けたことはない、と主張。接近してきた海自機を識別するために電子光学追跡装置(EOTS)を作動させたとしてきた。このETOSは光学カメラに赤外線装備をつけた装備で、「STIR-180」に装着されている。カメラを使おうとEOTSを海自機に向けたが、STIR-180から電波は出していない、という主張だ。一方で、日本側は電波の周波数帯域や電波強度などを根拠に、火器管制レーダー特有の電波が照射されたとしてきた。

 

   両国の「舌戦」には、韓国メディアからも懸念の声が出ていた。朝鮮日報は12月27日付のコラムで、13年に中国海軍艦船が海自護衛艦などに火器管制レーダーを照射したとして問題化したことを引き合いに、

「長年のライバルである日中間に起きたことが、友好国である日韓間で再演されている」

と指摘。

「従来であれば、両国軍当局間の水面下の対話で直接事実を確認して『誤解』を解くことができる事案である。ところが、そうではなく公に舌戦を繰り広げている」

などとして、両国関係の悪化が原因で水面下で問題解決を図ることが難しくなっているとみている。動画が公表される見通しになった12月28日朝の段階では、

「両国が事実関係を確認し、誤解の解消のための協議を継続することにした中で、防衛省が自国の主張を裏付けると言って一方的に映像を公開することにしたことで、『レーダー紛争』をめぐる議論はさらに加熱するとみられる」

などとして、さらに問題がこじれる可能性を懸念していた。

「あー出してます。FC系出してる」「間違いなく向こうのFC系です」

 

   防衛省が12月28日夕方に公開した動画は13分ほど。海自機が韓国海軍の駆逐艦を旋回しながら乗組員が

「あー出してます。FC系(編注:火器管制レーダー)出してる」
「めちゃくちゃすごい音(編注:電波が強いことを表す)だ」
「間違いなく向こうのFC系です」

などと話す様子が収められている。

   韓国国防省の報道官は、動画は「単に哨戒機が海上で旋回する場面とパイロットの会話シーンだけが収録されたもの」に過ぎず、火器管制レーダーの電波が照射されたという日本側の主張の「客観的証拠としてみなすことはできない」とした。

 

   今後の焦点は、日本側が火器管制レーダー特有の電波を受けたことをいかにして示すかだ。ただ、岩屋毅防衛相は12月28日午前の記者会見で、

「自衛隊は当然、電波収集も同時にして記録も残してある。それもまたわが方の能力なので、どこまで公開できるかというのは難しいものがあると思うが、韓国側とのやり取りの中では、必要なデータは示して、相互理解が進むようにしたい」
「まだ、電波のデータは渡していない、示していないということだ。いくら友好国と言えども、お互い『秘』にしなければいけないというところもある」

などと話し、具体的な周波数を示すことには慎重姿勢だ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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