2024年 4月 26日 (金)

過去には見舞金も送ってきたけど... 北朝鮮「赤十字」に野党議員がつけた物言い

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   北朝鮮のものとみられる木造船が相次いで漂着している問題で、北朝鮮が、船に乗っていた人を送還するなどした日本側の対応に対して「謝意」を示す異例の対応をした。この対応に、野党議員から「物言い」がついた。

   北朝鮮の国営メディアによると、日本側に謝意を示したのは北朝鮮の赤十字会「朝鮮赤十字」。だが、2019年2月12日の衆院予算委員会で飛び出したのは、この朝鮮赤十字について、「ちゃんと組織されているかどうかというのは、これはとても信じがたい」とする主張だ。

  • 衆院予算委員会で質問する国民民主党の渡辺周衆院議員(写真は衆院インターネット中継から)
    衆院予算委員会で質問する国民民主党の渡辺周衆院議員(写真は衆院インターネット中継から)
  • 衆院予算委員会で質問する国民民主党の渡辺周衆院議員(写真は衆院インターネット中継から)

相次ぐ「漂着」に懸念示す中で

   この日の質疑では、国民民主党の渡辺周議員が、木造船の漂着問題を取り上げた。渡辺氏は民主党政権で総務副大臣や防衛副大臣を歴任している。答弁に立った警察庁の担当者によると、「国籍不明」の船の漂着事案は18年に入ってから29件で、そのうち2件で生存者がいた。例えば19年1月には、島根県隠岐の島町に小型木造船が漂着し、4人の男性漁民が警察に保護されている。

   渡辺氏は現状について

「北朝鮮の船が、あの拉致をされた時代と変わらずに、今も漂着をしている。しかも、上陸までしている。この上陸した人間が漁船なのか工作員なのか。その点について、当然、沿岸の住民は不安を覚えるところ」

などと問題視。その上で、エンジンが壊れた船ですら日本に到達できるのであれば、

「何らかの機能、エンジンを持った船ならばもっと安易に目的地に来ることができるのではいかと思う」

と指摘し、北朝鮮からの「謝意」の件に触れた。

北朝鮮は異例の「謝意」表明

   この「謝意」は、朝鮮中央通信が2月4日に

「朝鮮赤十字会中央委員会は、近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」

と配信したもので、北朝鮮としては異例の対応だ。渡辺氏はこの点について、

「しかし、北朝鮮に赤十字などという組織がちゃんと組織されているかどうかというのは、これはとても信じがたいわけでございますし、それよりも我が国が本当にこの北朝鮮の上陸した人間が何者であるということについて、必要な調査をしているのか」

などと述べ、漂着した人のチェック強化や、木造船を展示するなどの啓発活動の展開を求めた。

   なお、河野太郎外相はこの「謝意」に件について、2月5日の記者会見で、

「日本としては、そうした方を北朝鮮に帰国をさせる措置を誠実にとってきた。そうしたことに対する謝意であろうと思っている。海上で命を落としている方もいらっしゃる。北朝鮮側には是非この操業に関して、しっかりと安全性を確保していただきたい」

と発言。北朝鮮の赤十字について疑義を唱えているわけではない。

拉致被害者めぐる調査などの窓口にも

   今回の件以外にも北朝鮮の赤十字は、様々な面で日本や韓国との窓口になってきた。1950年代から1984年にかけて行われた在日朝鮮人の帰還事業は、1959年に両国の赤十字がインドのコルカタで結んだ協定に基づいて進められた。日本人拉致被害者をめぐる調査や、南北離散家族の再会事業の窓口になっているのも赤十字だ。1995年の阪神淡路大震災、2004年の新潟中越地震、11年の東日本大震災の際には日本赤十字社に見舞金を送っている。

   ジュネーブに本部を置く国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のウェブサイトでも、北朝鮮の赤十字の活動について触れられている。北朝鮮が18年8月に記録的熱波に見舞われ、干ばつの危険が指摘された際には、平壌に事務所を置くIFRCと北朝鮮の赤十字が協力しながら対応にあたったことが紹介されている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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