2024年 4月 19日 (金)

岡田光世 「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
都会と地方の断絶――忘れられた人たちの声を聞く 後編

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ポリティカリー・コレクトへの反発

   ナッシュはその例として、2019年7月末、トランプ氏に批判的なアフリカ系アメリカ人のイライジャ・カミングス下院監視・政府改革委員長(民主党)の地元選挙区である東部メリーランド州ボルティモアについて、トランプ氏が「ネズミや齧歯類がはびこる、吐き気をもよおす」町で、「(あんなところに)住みたい人間はいない」とツイートしたことをあげた。ここは黒人が多く住む地域で、人種差別的な攻撃だと問題になった。

「ボルティモアには僕も行ったことがあるけれど、ドラッグ、犯罪、高い失業率で、安全で住みやすい街とはとても言えない。また訪れたいとも思わない。ただあんな言い方で叩く必要はない。叩くひまがあったら、トランプ自身がボルティモアを住みよくするために動くべきだ」

   トランプ氏はツイッターを「注意を引くための戦略として利用している。だから、トランプの言葉尻ではなく、彼が言わんとしているのは何かを捉えることも大事だ」とナッシュは言う。

「トランプは物議を醸す。それが彼の個性でありスタイルであり、大統領就任前からずっとそうだった。自分が思うことを発言するのを恐れないし、自信を持っている。それが人々の注意を引くことをよく知っている。Attention is our currency.(今や、注目が大事なんだ)。
だからといって、大統領が好き勝手にいろいろできるわけではない。大統領命令が違憲とされることもあるし、実行するのに予算が必要であれば、議会の承認を得なければならない」

   トランプが支持される理由のひとつに、「ポリティカリー・コレクトへの反発がある」ともナッシュは語る。

「例えば、職場で何か部下や同僚に注意したくても、躊躇してしまう。『自分がマイノリティだから、あるいはゲイだから、自分だけ注意された』と受け取られるのを恐れるからだ。都会と違ってこの辺りでは、正直に話すのがよいことだと考える。
民主党支持者と共和党支持者のギャップは、ますます大きくなってきていると思う。メディアの在り方にも問題がある。メディアは信頼をなくした。トランプはCNNなどをフェイクニュースと非難していて、それが生産性があることとは思えないし、メディアも誤報を流すことはもちろんあるけれど、とくにケーブルニュースはひどい。報道の客観性に欠ける。
FOXニュースは極端に保守的右派に偏っているし、CNNやMSNBCはリベラルなバイアスがかかっている。メディアが僕たちを引き離しているとも言える。自分の意見や見方に合ったメディアから、ニュースを得ようとするからね。僕が共和党支持者だったらFOXニュース、民主党支持者ならCNNやMSNBCを見るだろう」
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