2020年 9月 23日 (水)

岡田光世 「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
都会と地方の断絶――忘れられた人たちの声を聞く 後編

ルイボスブレンドだからノンカフェイン。就寝前のリラックスタイムにおすすめ。

「民主党支持者は、なぜ大統領にチャンスを与えようとしないのか」

   でも、どちらを見ても、どこに真実があるか、見分けるのはとても難しい。

「そのとおりだ。僕は信頼しているジャーナリストの記事を追っている。ただ、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルなどもオピニオンの欄は読まない。そこに大いに主観が含まれているからだ。メディア、とくにテレビやラジオは、どこよりも早くニュースを伝えなければと競い合うばかりに、十分に時間や労力をかけずに、あまりにも早急に報道し、不注意に結論を出しがちだ」

   前回、触れたとおり、ナッシュは2016年の大統領選でトランプ氏もヒラリー・クリントン氏も支持しなかった。どちらもよい候補には思えなかったという。

   「民主党支持者は、なぜ大統領にチャンスを与えようとしないのか」とナッシュは首をかしげる。

「大統領が誰であろうと、米国市民として大統領をサポートする義務があると思う。彼が船の船長なんだ。船が沈まないように、手を取り合うべきだ。トランプ氏が気に入らないからって、声を荒げればいいというわけじゃない。僕たちは礼儀や礼節を失ってしまった。 トランプを毛嫌いする人たちが、彼を激しく非難・攻撃している。トランプ支持者たちは、それを自分たちへの非難・攻撃ととるんだ。意見が違っても、相手を受け入れることはできるはずだ。トランプを支持しているなら、友達の縁を切るなんて、そんな極端なことはこれまで起きなかったように思うよ」

   夜8時半から10時過ぎまで、ナッシュは穏やかに淡々と私に思いを語ると、丁寧に別れを告げ、車に乗り込んだ。そして月と無数の星の明かりを頼りに、農村の道を走り去っていった。(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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