2020年 2月 23日 (日)

ファン出資でソロライブ実現! 声優・平山笑美が見せた「恩返し」と「未来図」

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   声優の平山笑美さんが2019年12月13日と14日に東京・渋谷のWOMBで自身初のソロライブ「PIRAMIRiSE - Connecting The Smile -」を開催。のべ2000人の観客を前に、ヴォーカリストとしての存在感を示した。

   このライブは、ファンからの出資によって実現したものだ。J-CASTニュース記者は会場を訪れ、ファンからの熱気に触れてきた。

  • プロジェクトに多くのファンがCFで出資し、初のソロライブを2日間開催した平山笑美さん
    プロジェクトに多くのファンがCFで出資し、初のソロライブを2日間開催した平山笑美さん
  • 衣装は合計3着で、平山さんとスタイリストで相談しつつ「汗っかきの平山のことを考えて」デザインしてくれたという
    衣装は合計3着で、平山さんとスタイリストで相談しつつ「汗っかきの平山のことを考えて」デザインしてくれたという
  • 力強くも音域豊かなボーカルにオールスタンディングのファンが沸いた
    力強くも音域豊かなボーカルにオールスタンディングのファンが沸いた

公演前には「協賛映像」を繰り返し上映

    これまで主に声優・ナレーターとして活動していた平山さんだが、18年秋、「平山さんのライブが観たい」という何気ない友人の一言から平山さんをよく知るゲーム音楽界の有志が集まり、ライブで歌えるアルバムと楽曲の制作からスタート。その資金をクラウドファンディング(CF)で集めようと、クリエイターとファンのプラットフォームサイト「Fanbeats」上でプロジェクトを始めたところ、応募開始初日の19年5月16日だけで最高額目標2500万円を達成。アルバム「PIRAMIRiSE」(10月に一般発売開始)とライブの制作が進み、12月の2daysでのライブ開催となった。

   ライブのチケットはFanbeats上CFのリターンとして用意された。いくつかのプランの中で、20万円前後の最高額クラスの「P(プロデューサー)セット」「後援パック」などになれば、ゲネプロ(通し稽古)・舞台挨拶の見学や「協賛映像」の上映権がついてくる。応募者それぞれが自作し、アニメや顔出し映像など、思い思いのメッセージが込められた協賛映像が公演前に繰り返し上映されるので、ファン全体で、一連の制作活動に貢献できた実感を共有できる仕掛けだが、その分高額ではある。

ファンが「出資」を惜しまない理由は

   なぜ安くはないお金を出してまで、ここまで応援と熱意を伝えようとするのか。応募したファンに話を聞くと、演技や歌唱力のみならず、人柄も好きになって、もっと平山さんを応援したくなったという話がいくつか聞けた。そして、

「もっとこの人の歌を聴きたい。絶対成功させなくてはと思って」
「ぴらみさん(平山さんの愛称)の夢がかなえられるのなら、なんでもやりたいと」
「手助けができるのなら、と。ゲームの役よりももっと色々な歌声が聴きたいので。後悔はなかったです」
「ぴらみさんの次のステージを見せてあげたい」

など、技量と人柄に魅かれたファンの存在がうかがえる。それゆえ会場のキャパシティも「はじめは数十人くらいのこじんまりしたものかなと」イメージしていたという平山さんも予想もしなかった、1000人規模のライブハウスになった。

   舞台挨拶で平山さんは、

「今日から第一歩ということで、皆さんにいただいたこのチャンスで、楽しんでいきたいなと思っています」
「2日間ライブがありますので、泣かないように、がんばらせていただきます」

と語った。この後、2日間のステージでも平山さんが繰り返し口にしていたのが、「第一歩」。ソロライブは決して到達点ではなく、応援してくれる皆のためにこれからも歌い続けていきたい――その決意を固くしているかのようである。

大先輩からの「サプライズ」にファン歓声

   公演は2日間とも、オールスタンディングのフロアが身動きも取れない程埋まった。平山さんが「大先輩ですよ!畏れ多すぎておそるおそるオファーしたら快く台詞をアレンジまでしてくれて...」と言っていた、「アイドルマスター」シリーズで共演の声優・中村繪里子さんのナレーションというサプライズで開演すると、フロアの観客から歓声が巻き起こった。

   皆アルバム曲を聴き、事前に「予習」してきた、リピーターのような熱心なファンであるため、示し合わせたかのように曲に合せて、ペンライトの色が切り代わっていく。例えば「真夏のエモーション」ならば夏らしいライトブルーやライトグリーンになり、「Perfect Place」「フライング・ハイ!」のようなエモーショナルな曲では平山さんをイメージした黄色が目立った。

   開演前は「クライマックスくらいは泣いてもいいかなと」と言っていた平山さんだが、何度も目頭をぬぐいつつ、初披露の新曲を含めた全13曲を歌い上げた。出資してきたファンが待ち望んだ、平山さんのソロでの生歌というプレゼントがこの日初めて実現した。そして、2ndアルバムの制作決定発表という「お土産」とともに初日は幕を閉じる。

「第一歩」の終わりに見せた「未来図」

    2日目も平山さんは序盤のリズミカルな「JUMP!」「たどり着つく未来へ」から、キュートな「Dead or ふたりきり♪」など、さまざまなジャンルの楽曲を披露。MCでは「もぐもぐタイム」と称しておにぎりを頬張るシーンもあった。

   終盤には2020年の2ndライブの開催も告知され、「アーティスト・平山笑美」の未来図を目にした観客はまたも大歓声。平山さんも「こんなことってあるんですねー!また皆さんと一緒に新しい地平へ羽ばたいていきたいと思っております」と心境を語った。初日のMCでも、

「こんなにたくさんのご支援をいただけるなんて全然思ってなくて」
「お1人お1人の力で、金額とか関係なしに俺が、わたしが平山をここまで上げたぞって言ってください」

と、スタッフとファンの後押しでステージに立っている実感を伝えており、これからの音楽活動もともに歩んでいきたいと決意しているようだ。最後の「Maybe Maybe Maybe」では時折声をつまらせながらも、フロアのコールを煽って2日間のべ27曲のライブに幕を下ろした。

「応援」「出資」の付加価値

   「応援してください」はアーティストからの定番のメッセージだが、ファンの側が「応援」を目に見える形にして届けられるチャンスは多くない。ただ楽曲を購入する「消費」だけではなく、「応援」「出資」という付加価値とともに、平山さんの音楽活動は回り始めた。無論その前提には、ファンや裏方からも期待される実力や人柄があってこそで、だからこそアルバムの一般発売、2daysのライブ開催と成果は大きくなっていったのだろう。応援広告・CFのように、世のファンたちは、アーティストをプロデュースしているような感覚に価値を見出しつつある。1人の声優をめぐる、この約1年のムーブメントもその一例と言えそうだ。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

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