2021年 3月 1日 (月)

シベリアに眠る父の埋葬地は、ゴミ捨て場と化していた【71年目の死亡通知】(上)

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埋葬地保全には関心が薄い国

   2016年に議員立法で、アジア・太平洋地域もふくめた「戦没者遺骨収集推進法」が成立し、2024年度までの9年間を「集中実施期間」と定め、「国の責務」として遺骨収集が強化されることになった。

   遺骨収集が「国の責務」だとすれば、「骨を拾ってもらえない」抑留犠牲者に敬意を払うのも「国の責務」と考えるべきだろう。しかし、この法律ができても、埋葬地の保全に本気で取り組もうという気構えは、国からまったく感じられない。

   そのあたりを、父の埋葬地である「第4865特別軍病院・第1墓地」をめぐる厚生労動省とのやりとりから見てみよう。

   荒れ放題の埋葬地をなんとかしなければと、新聞に「せめて、そこが日本人の墓地であることを示す墓標の建立を急ぐべきだ」という、先述のような投稿をしたのは、2016年10月だった。

   翌2017年1月末、厚労省から「埋葬地の管理はロシア側の責任。この投書を受けて、ウスリースク市に清掃をおこなうよう申し入れをした」という回答を受け取った。

   この「清掃」という表現を見た瞬間、そのお座なりさ加減に腹が立った。父の埋葬地の整備は「清掃」などというレベルでは対応できず、大量のゴミを取り除いたうえで、窪地を埋め戻して整地する必要があるからだ。

   すぐにウスリースクのガイド優子さんに連絡して現場を見てもらうと、予想通りなんの変化もない。その写真を添えて、「清掃」した形跡はないと厚労省にメールをしたが、返事はなかった。

   厚労省もさすがに気になったのか、この年の3月にウラジオストク総領事館のスタッフ2人が第1墓地を訪れ、ゴミ捨て場となっている状況を視察した。厚労省は当然、その報告書を受け取っているはずだが、それから3年近くを経過した現在に至るまで、音なしの構えだ。

   考えてみれば、この埋葬地がゴミ捨て場の様相を呈するようになったのは、1997年に90人の遺体を収容した際、きちんと埋め戻さなかったためであり、厚労省の監督責任が問われなければならない。

   さらに言えば、慰霊巡拝などの際、埋葬地が荒廃していることを幾度も現認しながら、これまで放置、ないしは有効な対策を講じなかったという点で、厚労省には二重の責任がある。

   2016年10月、シベリアのコムソモリスクで、遺骨から採取したDNA鑑定用の検体である61人分の歯を誤って焼失するという不祥事が起きた。このとき、厚労省は関係する遺族に謝罪したが、埋葬地がゴミ捨て場になっていることを承知しながら、長年にわたり放置し続けていることは、遺族の感情を傷つける不作為であり、この事件と同様に謝罪してしかるべきケースであろう。

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