2020年 10月 22日 (木)

勢いを増す東京五輪「延期」の風 今度はIOC現職委員からも痛烈批判

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   2020年東京五輪の開催の行方に世界中が注目しているなか、国際オリンピック委員会(IOC)のヘーリー・ウィッケンハイザー委員が、自身のツイッター上でIOCを痛烈批判した。

   ウィッケンハイザー委員は2020年3月17日、自身のツイッターを更新し、今夏の通常開催を目指すIOCに対して「鈍感で無責任である」との見解を示した。カナダ出身のウィッケンハイザー委員は、アイスホッケー代表として5度、冬季五輪に出場している。

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「この危機はオリンピックよりも大きい」

   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ついにIOCの現職委員から批判の声が上がった。ウィッケンハイザー委員は「この危機はオリンピックよりも大きい」と指摘。さらに通常開催に向けて予定通り準備を進めるとの公式声明を出したIOCに対して「このような信念を持って前進することを主張するIOCは、人類の状態を考えると、鈍感で無責任であると思います」と痛烈に批判している。

   また、英国のBBCは3月17日、東京五輪の開催問題に関してスペイン・オリンピック委員会のアレハンドロ・ブランコ会長の意見を報じている。BBCによると、ブランコ会長は「最も重要なことは、選手が練習できないこと」と選手の練習環境が整備されていない現状を指摘し、「選手に準備する機会を十分に与えるため、五輪は延期することが望ましい」と語ったという。

   IOCの現職委員からの痛烈批判、そしてスペイン・オリンピック委員会会長による「延期」発言。開幕を約4カ月後に控え、東京五輪の通常開催を疑問視する声、反発する声は日ごとに増している。日本オリンピック委員会(JOC)からも「延期」を主張する声が上がっており、ここにきて、今夏の「通常開催」から「延期」へと風向きが大きく傾いている。

   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の中止、延期の声が上がり始めたのは2月下旬だった。国際オリンピック委員会(IOC)の最古参委員であるディック・パウンド氏が2月25日にAP通信のインタビューを受け、東京五輪が直面するリスクを指摘。パウンド氏は開催可否の判断は遅くとも5月下旬までに行うとの見解を示し、日本での開催が困難ならば中止を検討するだろうと推測した。

IOC委員に続いて組織委員会理事からも「延期」発言

   また、パウンド氏は2月26日にロイター通信のインタビューにも応じており、延期の可能性について言及した。「日程の再検討が必要となれば」と前置きした上で、2020年内の延期については、欧米のスポーツイベントとスケジュールが重なることから否定的な見解を示し、1年後の2021年に延期される可能性に言及した。

   IOCはパウンド氏の見解をあくまでも私的なものとし、IOCの公式見解ではないとした。日本政府もこれに同調する形でパウンド氏の見解に否定的な姿勢を見せた。2月下旬の時点では、パウンド氏の発言はまだ小さな波に過ぎず、IOC、日本政府、東京五輪組織委員会から「延期」を求める声は見られなかった。

   IOCが通常開催を声高に主張する間も事態は好転の兆しを見せず、ウイルスの感染はアジアから欧米へと広がりを見せた。3月に入ると、海外メディアは次第に東京五輪の通常開催を疑問視する論調へと変化し、「中止」、「延期」の見出しが躍り始めた。通常開催の流れが変わり始めた3月10日、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(電子版)に組織委員会の高橋治之理事の「延期」発言が掲載された。

   高橋理事は、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大により今夏の通常開催が不可能な場合、「1年から2年延期するのが最も現実的な選択肢」とコメントした。組織委員会の「身内」から初めて出た「延期発言」は、世界中に発信され大きな衝撃を与えた。高橋理事は以降も日本の各メディアの取材に応じ、自身の意見を発信し続けている。

ついにはトランプ大統領までも「延期」プランを

   高橋理事に続くようにして政界から自民党の石破茂元幹事長が東京五輪の開催について言及。石破氏は3月11日にロイター通信のインタビューに応じ、東京五輪の「中止」、「延期」に備えた準備の必要性を訴えた。石破氏は開催の可否及び延期についてはIOCに権限があるとした上で、「中止」、「延期」となった場合に備えて今から準備する必要があるとの見解を示した。

   そして、3月12日(日本時間13日)に事態は大きく動いた。米国のトランプ大統領が東京五輪の開催について「1年間延期したほうがよいかもしれない」と発言。トランプ大統領は、あくまでも個人的な考えであるとしたが、米国大統領の発言の影響は大きく、海外メディアはトランプ大統領のコメントを速報で大々的に報じ、世界中に今夏の通常開催への不安が広がった。

   時を同じくしてIOCのトーマス・バッハ会長は3月12日(日本時間13日)、ドイツの公共放送ARDのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪開催の是非について、「WHO(世界保健機関)の助言に従う」と述べた。これまで通常開催へ向けて強気な発言を繰り返し、五輪開催可否の決定権を持つIOCのトップが初めて見せた「弱気」な一面だった。

このタイミングでJOC幹部が新型コロナウイルス感染

   東京五輪を目指す選手からも延期を求める声が上がり始めている。英紙「ガーディアン」(電子版)は3月15日、陸上男子800メートルのガイ・リアモンス(英国)が「平常通りできるとの確約が当局から得られない限り大会を延期すべきだ」と主張したと報じた。また、2016年リオデジャネイロ五輪陸上女子棒高跳び金メダリストのエカテリニ・ステファニディ(ギリシャ)はツイッター上でIOCへの不満を募らせている。

   3月17日には日本サッカー協会(JFA)の会長で日本オリンピック委員会(JOC)の副会長を務める田嶋幸三氏が、新型コロナウイルス検査で陽性だったことが発覚。このニュースは世界各国に速報で伝えられ、波紋を広げている。JOCは田嶋副会長の感染を受けて、関係者、各団体に予防の徹底を呼び掛けたが、このタイミングでのJOC幹部の感染は、東京五輪の開催問題に何らかの影響を及ぼす可能性もある。

   IOCは3月17日に臨時理事会を開き、改めて東京五輪は予定通り準備を進めていくとの声明を出した。安倍晋三首相は16日に行われたG7緊急テレビ電話協議にて、「完全な形」で東京五輪を実現することに、G7から支持を得たことを明かした。今夏の通常開催に逆風が吹き始めるなか、いまだ当初の方針を貫くIOCと日本政府。安倍首相が言う「完全な形」は、徐々にその原形を失いつつある。

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