2020年 3月 29日 (日)

女性のネイルへの情熱にパナソニックが動いた 新しいジェルネイル「nafeee」の可能性

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   手を美しく保つネイルの世界に、あのパナソニックの中の若手チームが新しいネイルソリューション「nafeee」(ネイフィー)で参入を狙っている。

   市場2000億円ともいわれるネイル市場にチャレンジしているのは、社内の新規事業創出プラットフォーム「Game Changer Catapult」(ゲームチェンジャーカタパルト、以下GCカタパルト)で結成されたチームである。彼らが未経験の「ネイル」に着目したエピソードから、現在に至るまでの約1年半の取り組みを聞いた。

家電メーカーの男性たちは、なぜネイルに注目するのか
家電メーカーの男性たちは、なぜネイルに注目するのか

パーティーでの一言がきっかけ

   GCカタパルトはパナソニックで主に家電事業を推進しているアプライアンス社で、お客様の新しい体験やサービス、社会課題の解決に繋がる「未来のカデン」をカタチにすることをミッションとし、社内公募型の新規事業アイデアコンテストを実施している。そこで選考に残った企画のひとつがnafeeeだ。

   ネイルアートの中でも、ジェルと呼ばれる溶液を爪に塗り専用ライトで固めるジェルネイル。デザイン性に優れ、耐久性が高く、昨今のネイルアートの主流になっているが、さらにそこに独自の素材を活かし、爪へのダメージを大幅に減らして数分でジェルネイルを除去できるようにする、というのがnafeeeのソリューションアイデアだ。通常、30~40分程度かかるのが悩みだったジェルネイルの除去がわずか5分に。もっと手軽にジェルネイルを楽しめるだけでなく、ネイルサロンの回転率にもつながる為、施術する側もされる側も、ネイルに関わるすべての人にwin-winなツールを目指している。

nafeeeのイメージ。ベースコートに新素材を採用、紫外線を照射すると剥離が簡単に
nafeeeのイメージ。ベースコートに新素材を採用、紫外線を照射すると剥離が簡単に

   このプロジェクトに携わっているのは、アプライアンス社の甘利啓太郎さん・松井はなさん・川口慎介さん・梅本大輝さんの4人のスタッフだ。始まりは2018年の10月頃にさかのぼる。海外向け美容家電の営業・マーケティング担当として米国に出張していた甘利さんは、あるパーティーで駐在員の奥様から声をかけられた。

「あなたは美容家電の担当なのね。ではなぜネイルアートを扱おうと思わないの?」

   当時、ネイルアートについてほとんど知らなかった甘利さん。

「ネイルアートには年間10万円くらい使っているわよ」

   3~4週に一度ネイルサロンに通って年間10万円ものお金をかけるほどの、女性のネイルアートにかける熱い想いと、ビジネスとしてのポテンシャルを、その女性から知らされた。

   日本有数の家電メーカーで仕事をこなしながらも「新しい価値を中々生めていない、この状況はよくない」という危機感を抱いてきた甘利さんにはこの一言がきっかけになり、帰国後、ネイルアートにまつわる新しい商品やサービスを生み出せないか、女性用美容商品の担当だった松井さんに相談。たまたま同様にネイルアートについての構想を持っていた彼女と意気投合し、企画を練り始めた。しかし、実際には長らく「暗中模索」が続いたという甘利さん。

nafeee起案責任者の甘利さん
nafeee起案責任者の甘利さん
「2019年の春頃から企画書を作り始め、想定ユーザーや市場概要など、商品企画に必要な基本的要素を、主に定時後を利用してまとめていきました。しかし、残業を増やせば働き方改革に逆行する事にもなる為、本業とのバランスを見ながらの『草の根運動』のような動き方でした。そのような中、5月にGCカタパルトの公募を知り、応募してみよう、と思ったのです」

と振り返る。GCカタパルトのエントリーシートが無事、選考を通過し「二歩目」を踏み出した甘利さん。ネイル市場に興味があった梅本さんと川口さんも加わって現在のチームメンバーが固まり、皆本業の仕事と並行で取り組んでの新規事業が始まった。

4人で本業と並行して開発を進めた
4人で本業と並行して開発を進めた

   もっとも、当時アイデアにあったのは「IoTネイルプリンター」だったそう。ネイルデザインのデータをサーバーを介してやり取りし、自宅で気軽にプリントできる、そんな企画だった。しかし、ネイルユーザーへのヒアリングの結果、コンセプトを180度方向転換することに。ユーザーが強く反応したのは、プリントやデザインデータのやり取り、といった「いかに装飾するか」の工程ではなく、爪にダメージを与えず、短い時間で「いかに除去するか」というポイントだったからだ。この方向転換を基軸に、本格的に現在につながるnafeeeのコンセプトを固めていった。

「当たり前のようですが、耐久性を上げればそれだけ除去が大変になり、逆に除去を簡単にすれば、外れてほしくない時に外れてしまう。その矛盾を根本的に変える発想が必要なのではないか、と考えました」

そう甘利さんは振り返る。


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