2020年 6月 1日 (月)

東京女子医大「全員PCRで授業再開」に学生反発 「検査の必要あるか」「感染不安」...嘆願書も

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   東京女子医科大学(東京都新宿区)が2020年6月から、対面授業の再開に向けて準備を進めていることが5月15日、分かった。事前に全学生約1000人にPCR検査を受けさせ、陰性者のみ登校させる。

   学生や保護者の間では「なぜ焦って6月から開始するのか」「感染リスクが高い東京に向かうことが大変不安です」などと反発が広がり、嘆願書が出される事態になっている。

  • 東京女子医科大ホームページより
    東京女子医科大ホームページより
  • 東京女子医科大ホームページより

教室に最大40人集合

   女子医大は5月11日付で、学生と保護者に「6月登校にむけての準備のご案内」と題した通達を出した。これによれば、新型コロナウイルスの影響によりオンライン授業を導入したものの、感染状況に「回復の兆し」がみえたため、6月に対面授業を再開する準備を進めているという。

   そのため、院生を含む医学部、看護学部の全ての学生にPCR検査を実施すると知らせた。

   学生約1000人を5月16、17日の2日間に分けて登校させ、大学敷地内の医療施設で「内科の先生方のご協力で行い、患者と接点のない形」で行う。待機場所となる教室には最大40人が揃う。

   検査費(1万6000円〜)は父母会に負担を依頼しているが、現状では学生負担に。2週間以内の体調不良や当日37度を超える場合は登校できないとする。

「貴重な医療リソースは本当に必要としていらっしゃる方のために使うべき」

   通達を受け、学生たちの間では戸惑いや不安の声が上がっている。

   学生たちが繋がる通信アプリ上では異論が噴出し、急きょ嘆願書が作成された。医学部3年〜5年生と保護者の55の意見を反映させ、13日に大学側に提出した。以下、一部抜粋。

「地元ではコロナ患者・疑いの人に対し厳しい印象を持つ人が多い。感染者が多い東京に一度でも行ってしまうと、かなり長い間地元に帰れなくなってしまう懸念があり心配である」
「県外から通っており、高齢者と同居する私としては感染リスクを限りなく少なくしたいです。現在感染リスクが高い東京に向かうことが大変不安です」
「どう努力しても3密を避けられない状況で、たった1回の『感度は低く特異度が高い』検査をするメリットと、無症状の陽性者や偽陰性者と濃厚接触するデメリットを考えて頂きたい」
「検査キットそのものだけでなく、検査をされる先生方や検査技師の方々の労力や時間など、貴重な医療リソースは本当に必要としていらっしゃる方のために使うべきではないですか。意味や必要がない検査は患者への負荷も考えて行うべきではないと授業で何度も習ってきました」

大学側「十分な感染対策を実施」

   大学側は嘆願書を踏まえ、ふたたび書面を送付した(13日付)。

   「6月以降の登校開始を目安に準備を開始しておりますが、今後も本感染症の動向を週単位で確認し、再度、方向転換を行う可能性はあります」「緊急事態宣言がさらに延長になった場合には、6月以降も自宅学修となることが予測されます。そのようになった場合には、次の登校が可能となるタイミングで、検査方法が変わる可能性はありますが、再度検査を行うことも含めて検討を行います」と当初よりトーンダウンし、決定についていくつか補足した。

   PCR検査は民間会社に外注し、「一般診療における検査の妨げにはならないことを確認しております」との見解を示す。

   感染対策も十分に行い、検査前に待機する教室は「万一陽性者がいても待機中の学生さんが濃厚接触者と判定されないように対応を行います。具体的には窓が開放できる講義室で、マスク、フェイスシールドを着用し、間を空けて着席して頂く配置を決めております」とする。

   授業時も「講義室やPC室の机にはパネルやパーテーションを設置し、座り方の工夫やICT(情報通信技術)の利用により、3密を避けたカリキュラムを行う予定としておりますが、さらに感染を回避するためにも、学内では学生の皆さまには基本的にマスクとゴーグルもしくは花粉症用の眼鏡とフェイスシールドの着用をして頂きます」と理解を求めた。

   検査日に登校が難しかったり、不安を感じたりする学生には、個別に対応するという。

   陽性とわかったら、「症状の有無、症状の程度に応じて、本学で現在行っているCOVID対応の処置を行います。症状がないか、軽度の場合には自宅待機を最低でも2 週間は行って頂きます。症状が持続するか改善しない場合には本学の附属医療施設での治療を開始」し、学年閉鎖なども検討する。

学生の不満の根底にあるのは

   大学側からの追加説明を受けても、取材に応じた医学部4年生は納得できないという。

「たしかにオンライン授業は今までの対面授業より質は低いですが、慣れてもきたのでコロナが落ち着くまではオンライン授業の方が学生としては安全です。学校は大学病院の敷地内にあるので、信頼して通院や入院をしてくださっている患者さんのためにもなると思います」

「臨床実習があって病院に行かないと単位が取れない5、6年生は、PCR検査を必須にするのは仕方ないとは思います。といっても無症状で、偽陽性・偽陰性の可能性を考えると、受ける必要性をあまり感じないというのが5年生たちの意見です」

   不満の根底にあるのは、十分な説明がないまま、6月から対面授業開始を推し進める点だという。

「なぜ焦って6月から開始するのか理由が知りたいです。わざわざマスクとゴーグルとフェイスシールドを着けてまで授業に臨まないといけないのか。そこまでしてやりたいのはなぜなのか。ここまで強硬的にやられてしまうと裏があるのかと考えてしまいます。たとえば、学費返還といった動きが出るのが嫌だからとか、PCR検査の結果をもとに教授が論文でも書きたいのかなどです。そういう風に色々と考えてしまいます」

「地方の学生が一日だけ東京に行って検査をして帰ってくることがもし地元でばれてしまったら、自粛警察ではないですけど、周囲に非難されるとか、東京に行ったためにコロナに感染したらそれも非難される。親が開業医の学生も多くて、(院内感染が広がったら)病院の経営に影響します。それを懸念する保護者も多いです」

「あとは検査代、交通費代も自己負担ですし、今はバイトも一切禁止で処分の対象なので、その中で強制的に支出させるのは疑問が残ります」

「学生たちはあくまで学びたいということには変わりはないです。きちんと情報を共有してくだされば、ここまで反発は起きなかったと思います。大学には今後、情報開示を強く求めます」

   女子医大広報室に15日、PCR検査の必要性や対面授業再開の是非などについて質すも、「この度のご質問については、回答を控えさせていただきます」との返事だった。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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