2020年 10月 29日 (木)

「消費者保護に名を借りた悪法」出版業界が「消費税総額表示」に反発する理由と、財務省の見解

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   消費税の「総額表示」が話題だ。商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者は、取引価格を表示する際に、原則として外税ではなく、消費税額を含めた総額(税込み価格)を表示しなければならない。しかし2度にわたる消費税率の引上げに際し、値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から、特例として、2021年3月31日までの間、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととされている。この期間がもうすぐ終了することを受けて、SNS上では総額表示義務の免除を望む声が高まっている。

   総額表示義務に反対する声は、日本チェーンストア協会など小売業からもあがっているが、特に注目されているのが出版業界だ。きっかけとなったのは、ツイッター上のハッシュタグ運動「#出版物の総額表示義務化に反対します」が広まったことだ。

   出版物は商品としての寿命が長いため、総額表示義務が課せられると、消費税率の変動ごとに対応する必要があることから、コスト増によって絶版となる作品もあるのではと指摘されている。

  • ツイッター上のハッシュタグ運動「#出版物の総額表示義務化に反対します」が広まった
    ツイッター上のハッシュタグ運動「#出版物の総額表示義務化に反対します」が広まった
  • 消費者庁による「令和2年9月物価モニター調査結果(速報) 」より
    消費者庁による「令和2年9月物価モニター調査結果(速報) 」より
  • ツイッター上のハッシュタグ運動「#出版物の総額表示義務化に反対します」が広まった
  • 消費者庁による「令和2年9月物価モニター調査結果(速報) 」より

「各現場に手間や負担を強いるのは愚策以外の何物でもない」

   出版業界などの情報を伝える文化通信社が2020年9月14日、出版物においても総額表示の義務が課されることがほぼ確定したと報じたことを受けて、SNS上の作家や編集者たちは「#出版物の総額表示義務化に反対します」を用いてツイートを行った。すると、書店や中小規模の出版社もこのハッシュタグ運動に参入し、広まっていった。

   このハッシュタグ運動の解説動画をYouTube上に投稿した晶文社は、J-CASTニュースの取材に対して、メールでこう述べる。

「願わくば法の改正、最低でも特措法の期間延長を御願いしたい」(社長室・川崎俊さん)

   晶文社編集部の安藤聡さんはYouTubeの動画内で、本が長期間店頭に並ぶ商品であることを訴え、外税表示を守る方向で議論をしていく必要があるのではないかと述べる。総額表示義務が課されていると、消費税率が変動するたびに価格転嫁対応に追われることになる。しかし外税表示であれば、これらのコストがかからないとしている。

   業界団体からも、出版物への総額表示義務の免除を求める声が上がっている。中小出版社で構成された一般社団法人「日本出版者協議会(出版協)」は2020年9月23日、公式サイト上に「消費税総額表示義務の特例の『無期限延長』、『外税表示』許容の恒久化を強く要望する」を掲示した。「定価 〇〇円+税」などのいわゆる「外税表示」の許容を求めている。同協会は、J-CASTニュースの取材に対しては、こう述べる。

「そもそも、価格表示のしかたを国が一律に統制しようとすること自体に無理があると思います。総額表示義務は、消費者保護に名を借りた悪法でしかありません。まして現在のコロナ禍で、出版はじめ多くの産業が打撃を受け、小売の現場がさまざまな対応に追われているなか、総額表記の義務化により各現場に手間や負担を強いるのは愚策以外の何物でもないと考えます」

   日本書籍出版協会(書協)と日本雑誌協会(雑協)も、J-CASTニュースの取材に対し連名で回答。総額表示義務の免除が終了することを受けて、19年から財務省・国税庁と協議を行っていると明かした。

「財務省に対しては昨年末から総額表示義務免除の延長の要望を続けています。要望書という形で改めて提出するかは未定です」

   書協と雑協はかつて、財務大臣に対して総額表示義務の免除を求める要望書を提出している。

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